807: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:18:15.23 ID:6D6vTS+OO
刑事を出迎えた社員はつかつかと淀みなく負傷者のあいだを歩いて行った。歩みがあまりにスムーズなので、あらかじめ彼が歩くところには誰も座らせたり寝かさないようにと指示がされているみたいだった。その様子を見た刑事は先ほどとは別種の居心地の悪さを感じた。
防犯シャッターのところまでやってきた。そこにシートを被せられた遺体が何体も並べられていた。何度も見てきた光景だが、これほどの数を一度に視野に収めるのは初めてだった。
「防犯シャッターはまだ開かないのか?」
刑事はシートのふくらみから眼をはずし、遺体が並べられているのとは反対側の床に視線をやりながら言った。
「ウイルス攻撃の影響とのことです。順次復旧するはずです」
刑事に応えた社員のしゃべり方は平坦そのものだった。感情めいたものをいっさい見せず刑事に正対しその顔を見つめている。
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