新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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782: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:18:33.79 ID:ymR8HEsBO

 中野は大量殺戮への反対というごく常識的で倫理的な動機をみずから口した。アナスタシアのそれについては完全に推察したものだったが、三人で行動していた際に車内で尋ねてきたときの不安そうな声の調子と ──アーニャはどうすればいいですか?──、九月に電話をかけてきたときの決然とした宣言 ──アーニャも佐藤とたたかう── との比較、それに加えそのあいだに佐藤の旅客機テロがあったことを考えると、友人の死あたりが変遷の理由だということは簡単に推察できた。

 永井は、中野みたいな直線的なバカでもないのにそんな理由で十分に戦えるのだろうかと疑問に思ったが、戦闘といってもIBMの使用にするに限るのだから、と考え直した。

 送風機のファンが回り始めた。中野は羽の回転を眼で追いながら、永井にふと尋ねた。


中野「そういや結局、UWFは使わないのか」

永井「IBMだろ」


 中野のとぼけた発言を永井はすぐさま訂正した。


永井「使うもなにも、おまえ、出せるようになんなかっただろ」

中野「だよなあ……おまえも操れないままだしな」


 中野の指摘が正鵠を得ていてばつが悪くなったのか、永井は何も応えず、無言で通した。


永井「まぁ、すこしは使うけどね」


 ファンの回転がいよいよ速くなりはじめる。

 中野は制御盤のところまで戻ると、回転速度を上限めいいっぱいになるまで操作する。

 永井は高速回転するファンを見据え、スツールに座ったまま、要撃開始の狼煙をあげた。


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