441: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 20:52:09.80 ID:4fkctst+O
ーー午後二時五十八分。
その物体に最初に気づいたのは卯月だった。
シンデレラプロジェクトルームには、ロケや宣伝撮影に出ている六名ーー未央、みりあ、莉嘉、かな子、智絵理、きらりーーとアナスタシアと美波を除いた六名のメンバーがいた。
オフィスビルの三十階からの景色は、地上のオフィス街と青空が視界の上下を二分している。何気なしに窓を眺めていると、なだらかに歪曲した天地の境界線に雲の間から太陽の光が梯子のようにに降り注ぐ景色のなかに、チカッと目に射す光が卯月の目に飛び込んできた。
その光は輝きながら地上に向かっていた。光は物体そのものが放つものではなく、反射によるものだった。
卯月が光る物体の正体に思いあたったのは、聞き覚えのある音を耳にした瞬間だった。それはもっぱら上空から響いてきた音だった。音に反応して上を見上げると、予想していた通り、ぼやっとしたシルエットが空をなめらかに横切っていた。それがいつも見る光景だった。
卯月「飛行機……?」
卯月の声に戸惑いがあった。他のメンバーも窓の側にいて、卯月と同じ戸惑いを共有している。誰もが音と光の動きのズレに困惑していた。それは、いつもははるか上空を飛んでいるはずの飛行機が、ほぼ垂直といってもいい角度で、地上に向かっているからだった。
ーー
ーー
ーー
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20