130: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/04/08(土) 21:19:43.54 ID:4YLo7u+WO
三角形をした頭部は床に落ちなかった。切り離され、重みで後ろに落ちていくその直前で頭部は空中で静止し、首の断面から磁力のような引っ張り合う力が発生しているのか、元の位置まで戻った。
下村 (……っ、なんでもやってるみるしかないか……!)
万全になった幽霊は指をかるく閉めて拳を作った。左手の指は伸ばして身体の前に構え、右拳を胸によせ攻撃に備える。次の瞬間、田中の幽霊が突進してきた。引いていた腕を下村の幽霊の頭部めがけて、三叉の槍のように突き出した。田中の黒い幽霊の腕は長く鞭のようによくしなり、それが威力を生み出していたが、このときばかりは鞭ではなく三つの黒い点にしか見えなかった。まるで三発連続で撃ち放たれた狙撃のようだった。下村の幽霊はその動作に俊敏に対応し、爪の刺突を構えていた左手で捌くと、いなされた勢いで身体が開いた田中の幽霊の前に自分の身体を入れた。田中はすぐさま黒い幽霊に二撃目を命令するが、腰を回すだけで右拳を突き出せる下村の幽霊の方が速かった。ぎゅっと指を締め石のように拳を固める。体重移動は完了していて、回転力の加わった右ストレートが勢いよく打たれた。田中の幽霊の左顔面にまともにぶつかり、パンチの当たった箇所が剥がれたように失われた。
IBM『な……に……!?』
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