268:名無しNIPPER
2017/12/31(日) 22:39:04.71 ID:tgL1bz3k0
――――
睦月「――つまり、突然スピード重視の打ち回しになったわけですが――」
マホ(はえー、すごいです……)
机の上に置かれている仮想敵の写真を見て、なにかの手配書のようだとマホは感じた。
ゆみ「――なるほど。しかし、それまでは――」
睦月「――はい、状況も見たのでしょうが、IH以前から考えていたことは充分にあり得るかと――」
マホ(ううん……難しくてよく分かんないです……)
鶴賀の面子が意見交換をしているのを、別世界の出来事のように見ることしかできない。
睦月「では、次に中堅、これも三年の――」
京太郎「……」
マホ(先輩、凄い集中してる……)
手元の資料を凝視する京太郎に、ちらちらと視線を向けるが全く気付かれない。
睦月「――さて、次は副将ですが……この人は大将と一緒に説明すべきでしょう」
佳織「……大丈夫?ついていけてる?」ボソ
睦月が説明を続ける中、佳織が顔を向けてくる。心配してくれているのだろうが――
マホ(むっ……そういう妹尾さんだって、本当に理解してるんですか?)
いつもなら素直に分からないですと言えるのに、佳織に対しては、妙なプライドが邪魔をする。
マホ「……大丈夫ですよ」
佳織「そっかぁ……私は全然ついてけないよ。あ、智美ちゃん」
智美「んー?」
佳織「スピード重視とか打点重視とかのスタイルって、変えるのそんなに難しいことなの?」
智美「あー、それはな――」
マホ(あ、れ……?)
てっきり「分かんないよねー」と同意して欲しいだけだと思っていた。だが、佳織はちゃんと分からない所を智美に聞いている。
これではまるで……
マホ(マホだけ、本当に何も分かってないみたいじゃないですか!?)
実際その通りなのだが、心のどこかで佳織を侮っていたマホにとってはショックだった。
マホ(運が良すぎるから……何も考えずに打っても勝てるとか、そんな風に考えてるんだと……思ってたのに……)
真剣に話す鶴賀の面子を見て、マホは一人取り残されたような気分になった。
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