勇者「救いたければ手を汚せ」 
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652:名無しNIPPER[saga]
2017/02/25(土) 01:23:00.23 ID:ptB8pPTxO

……夢は、そこで終わる。

最高の夢が、悪夢に変わる瞬間だ。

右手にはあの子の小さな手の感触、確かな温もりが残っている。

この夢を見るたびに涙が溢れる。

何度目だとか関係なく、家族を失う悲しみには到底耐えられそうにない。

失うも何も、これは夢。本当に何かを失ったわけじゃない。

それは分かっている。初めから家庭なんてないことも分かっている。

けれど、胸が張り裂けるような喪失感が容赦なく襲い掛かってくる。

その痛みが落ち着いた後で、私はいつもこう思ってしまう。

もしかしたら、あの夢こそが本来辿るべき未来だったのではないかって……

まあ、埒の明かない妄想想像だけどさ……

一つだけ確かなことは、私が望むものは夢の中でしか手に入らないということ。

現実では決して手に入れることの出来ないもの。

あの日に夢見た、私のしあわせ。



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