勇者「救いたければ手を汚せ」 
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537:名無しNIPPER[saga]
2017/02/19(日) 03:05:14.00 ID:Vvfk6fYNO

魔女「………」ギュッ

勇者「ッ、ごめん。君を責めてるわけじゃないんだ。嬉しいんだけど、無理なんだよ……」

勇者「絶望の化身となった父さんは、もう戻ることはない。父さんは、もういないから……」

勇者「……父さんが自分を捧げた時、共に未来を生きることすら奪われた」

勇者「だから、もういい。疲れているだろうから、ゆっくり眠らせてあげたいんだ」

……ザゥッ…

戦士「希望よ、最期だ。遂に、時が来た」

勇者「出来ることなら、父さんと一緒に眠らせてあげたい」ヂャキッ

魔女「……っ、そっか。うん、分かったよ」

勇者「……ありがとう。じゃあ、行ってくるよ」

魔女「(勇者の背中が遠離る。何か言わなきゃ、何か言わなきゃダメなのに……)」

魔女「(あの背中には何も言えない。きっと、何を言っても……)」

王女『貴方は勇者と共に戦える。正直なところ、わたくしは嫉妬しています』

王女『魔女さんが苦悩していることは存じていますが、それでも羨ましいのです』

王女『共に戦い、互いに支え合う……それは、わたくしには出来ないことですから』

王女『……わたくしにはどうやっても出来ないことも、貴方になら出来る』

魔女「(無理だよ王女様。私じゃダメなんだ。私の声は、勇者に届かない……)」



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