【ラブライブ!】スクールアイドルを始めるらしい
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138: ◆XxLp/boApQ[saga]
2017/03/06(月) 11:00:16.07 ID:LW7Mo8Dn0
芽衣『分かれ道だってある』
ちら、ちらと次第に彼女は注目を集めていく。歌い踊り眩しいほどの笑顔を浮かべ、芽衣は客観的に見ればリ・バースと比較して技術が勝っているとは言えない。けれど彼女の歌はにぎやかさの中で明るく響き、まるで楽しさを体現しているかのようなダンスは見ているだけで気持ちが明るくなってくる。
芽衣『けど、寂しくはない。目指す場所がここにあるから』
それはテレビで見るアイドルからは感じなかったもので、私に希望というものを教えてくれて。
その点では、私が見た筈の生リ・バースより――いや、全アイドルより優れているのだろう。
晴香「……芽衣、こんなに踊れたの?」
深羽「予想外だね……てっきり、思いつきでここまで突っ走ってたのかと」
これまでの芽衣の印象とはまったく違うクオリティ。……否、思ってみれば彼女らしいといえるか。わざわざスクールアイドル部を新たに立てようとしているのだ。その情熱はくすぶっていた私には想像できない。
芽衣『私はここにいる。声を張り上げよう。みんなの声も聞こえる、この空の下で』
歌が盛り上がっていく。彼女の歌声は一層強く響き、確信を得たようなキリッとした彼女の横顔は凛々しく、思わず見とれてしまう。それはこの場にいるほぼ全員がそうだったのだろう。楽しげな声でざわついていた場は静まり、視線が集まりはじめる。
有名スクールアイドルとは違って、うまくもない歌。うまくもない踊り。なのに人を惹きつけてやまない。
緊張もあるはずなのに、芽衣は生徒たちが静まった一瞬の静寂、息を大きく吸い、一歩前へ。空いていたスペースへと跳び、軽やかに踊りだす。
芽衣『一人じゃない。見えないだけさ。だから走っていこう、明日へ』
芽衣『そばにいなくても力になるよ。だって私はそう思うから』
大した技術もない。けど高鳴る胸は止められない。私は初めてアイドルに憧れる人達の気持ちが分かった。
私も彼女みたいに誰かに希望を与えられたら。踊れたら。……楽しく思えたら。
きっと人生は変わるのだろう。
深羽「……」
遠い世界みたいな話だ。
私はその世界の外で、ずっと存在すら知らずに生きてきた。今、見学者っていう立場で、スクールアイドルになろうと思えばなれる位置にいても彼女は遠すぎる。
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