志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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121:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 00:46:36.84 ID:skZVACF00

「――あの日。アタシは、たくさんのものを失った。これまではずっとそれを取り返そうと必死に生きてきたんだ。

それなのに苦労してようやく答えを見つけたときには、“元の自分に戻る道”と“今の自分に納得する道”という選択肢が、アタシの手の上には残ってたんだ。

ギフテッドじゃなくなってからの世界は、辛いことも、苦しいこともあったし、今のアタシは、帰国子女の18歳で、ルックスも良くて、ダンスも歌も抜群なアイドルだったあの頃と比べたら、いくぶん落ちこぼれになっちゃったかもしれない。

……それでもさ。キミと見た星空は、そんな肩書きに負けないくらい、ほんとうのほんとうに素晴らしいものだったんだよ。

だから、神さまから与えられるだけの人生は、今日でおしまいにしよう。

この世界をあっと言わせる準備は、もう、整ってるんだ。それならアタシ達ふたりで、最後までやってやろうよ」


アタシは彼の手をそっと握った。今のアタシには、それだけで十分だった。

彼が目を覚ますまで、それまでは、このままでいようと思った。

しらないうちに流れていた涙を拭いて、アタシはもう一度空を眺めた。


そこには綺麗な青い蝶が飛び去っていく姿があった。

蝶は大きく羽ばたいて、いつしか空の彼方へと吸い込まれていった。

どこまでも自由に、どこまでも健気に。


おわり




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