志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/11/05(土) 00:24:27.60 ID:Ck50Wm+A0


さてさて、何から話そっか〜。
んー、それじゃあ、とっておきの一つを語ろうかなあ。

あれはたしか、まだ新しいアタシに生まれ変わったばかりのとき。そのころって、まだアタシの人気も衰えてなくてね。イベントに顔を出す機会の減ったアタシを心待ちにしてるファンだっていたし、会社としての期待値も今よりずっと高いままだった。
そんなことだから、ちょっと落ち目になった人気を取り戻そうってプロデューサーがなんとか取り付けてくれたのが、とある音楽番組の生放送だったわけ。

そこでは“秘密のトワレ”っていう、これまた難しい曲をうたうことになってて。初披露になるそのソロ曲で、アタシはステージに立たないとダメだった。

で、その時点でアタシはすっかり“落ちこぼれ”になっていたんだけど。そのことは、もちろん誰にも知られちゃいけないと思っていたし、アタシも周りに言うつもりはなかった。打ち明けても誰にも信じてもらえない、そう思い込んでたんだよね。

だから、なかなか振り付けが覚えられないことに、トレーナーさんから首を傾げられたりもして。その度に「ちょっと今のは遊びだったかな〜」とかなんとか軽口を叩くようになった。

内心はそりゃあもうアタシも必死でさ。移動中は録音した音源を何度も何度も聴いたし、家に帰ったら振り付けを練習したの。
これまでのアタシなら、ちゃちゃっとフリを覚えて、あとはラボで呑気に実験でもしてたんだろうけど。そんなことをする暇なんて、アタシには与えられなかった。

とにかくアタシには絶望的に時間が足りなかった。ただそれだけだった。




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