志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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108:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 18:08:23.99 ID:prvI6nFf0

『匂いという知覚を分解することはむずかしい。色や味覚と異なり、良いと悪いでしか評価できない。そして、それらの名前はあまりにも少ない。これを細分化するためには、何が必要だろう』

『記憶に何らかの障害を持ったとき、人は一部の機能を失う可能性がある。意図的に脳にダメージを負わせたとすれば、記憶障害を誘発させることはできるか。またそれを元に戻すにはどうすればいいだろう』

『脳とはどんな仕組みで動いているか。才能と脳は密接な関係にあるのは間違いない。しかし、どんな作用を与えれば“才能を消失させられるだろう”』

そのメモの下には複雑な化学式が無数に連なっていた。それを見て「やっぱり」とアタシはおもった。

ステージでの失敗に始まって、ファンがアタシの元から去っていって、たくさんの恥ずかしい思いをしてきた。……それで、プロデューサーとの関係もずいぶんと悪くなってしまった。才能を奪われてからのアタシは、ろくなことがなかったんだ。

一ノ瀬志希は自分自身から“才能”を奪うために、この研究を行っていた。その結果生まれたのが、アタシだったんだ。

「……でも、どうして?」アタシはページを捲る手を止めなかった。

さて。頭のいい人にはもうわかっちゃったかもしれないけどさ。
最後のページにはね、アタシでさえもビックリしてしまうようなことが書かれていたんだよ。




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