季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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50: ◆ta6fr8WDAM[sage saga]
2017/06/30(金) 21:50:05.08 ID:NVF0BN/I0
すいません、完全にトリップを忘れました
別のものですが同じ作者です
ちょっとだけ続きです




 ちょっとまて、どういうことだ。
 俺はそういうつもりで言ったわけじゃない。
 ご両親のご挨拶って、いったいなんだよ。


 ……なんてことを書いた後に消して。
 俺は淡々と幸子の家へ訪問することを了承する返信をした。


 正直に言えば、ついに来るべき時がきたか、という気持ちだ。いつかはこういう話をすることになると思っていた。
 思ってはいたんだが、情けないことに気持ちを決められていなかった。
 こんな形で切り出させてしまったのが幸子に申し訳ないくらいだ。

 とりあえずどうすればいいかを1分考えた。
 結果、俺は次の日にスーツを新調し、お土産を用意していた。
 何かもっとするべきことがある気がするんだが……。思いつかない。

 ご両親のご挨拶。何を言われるんだ。何を言えばいいんだ?
 幸子のご両親には、当然、何度かお会いしたことがある。デビュー当時から彼女は未成年の学生だったのだから当然だ。
 お二人とも、とても物腰が柔らかく親切な方だった。あまり幸子には似ていないな、と思った。
 しかし、仕事面の条件などはなかなか厳しい質問をされ、その慎重さと真剣さに娘への愛情を感じたのが印象深かった。
 幸子の普段のかわいがられぶりが想像できる。

 最後にお会いしたのは、幸子が最後のライブを終えた数日後。幸子の家だ。家に送った時にはすでに幸子は車の中で眠っていたため、ご両親と三人で少しだけお酒も入れながら話をした。
 ご両親は涙を流しながら、これまでありがとうございました、と。
 お礼を言われて恐縮した。
 幸子があれほどのパフォーマンスを行えたのは、俺の力ではなく、彼女の力。自分はただ、きっかけを与えただけで……そんなことを言っていたら、彼女と過ごしてきた年月が胸に浮かび、思わずその場でもらい泣きをしてしまった。今思い出しても恥ずかしい。
 次に幸子に会った時、不満げに、どうしてボクの前では泣いてないのに、ボクの両親と泣いてるんですか、と言われた。
 お前の前では泣かないと決めてたんだよ……なんて話はできないので人徳ということにしてごまかす。

 そうだ。
 泣いた理由はもうひとつある。




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