768:名無しNIPPER[sage]
2022/06/19(日) 15:08:11.93 ID:qv3mgGJH0
闇に生き、闇を求め、闇に還りし者たちは、今やロードランの隅々に蔓延り、大路を跋扈している。
そのさまは緑の茂る、精霊たちの封地も例外ではない。
黒森と呼ばれ、心持つ者たちに恐れられたその地もまさに、闇の手に堕ちようとしていた。
東国の戦士「気狂いどもめ…狩猟団を敵に回し、何を得るつもりだ」
東国の戦士「貴様らの求めるものなど、この地には無いぞ」
同胞をことごとく斬られ、大業物をも弾き取られた男は、鉄の盾を構えて侵入者と相対している。
男の懐のエストはもはや尽きており、残り少ない狩人たちも、敵が連れてきたダークレイス達に手を焼き、助力できない。
闇霊「我々が求めるものなど、お前如きに分かるはずもない」
闇霊「我々は侵し、殺し、奪うまで」
封地を荒らす者達の長、赤黒いソウルを纏いし騎士は、黒騎士の斧槍を中段に構えて東国の戦士ににじり寄る。
そして東国の戦士の脳裏には、盾で斧槍を絡め弾くという選択は浮かばなかった。
一度敢行した際に、手の内を読まれて発火を合わせられてしまい、その時の負傷が残り少なかったエストを枯渇させてしまったのだ。
ダッ!
地を蹴って、侵入者が東国の戦士との間合いを詰める。
東国の戦士は盾を構えてはいるものの、その盾は命を長らえさせるだけで、戦士に勝利をもたらすものではない。
ドスッ!
そして、一刀が鎧を貫いた。
しかし、東国の戦士は盾を構えながらも、呆気にとられた。
東国の戦士は古今東西を歩き、多くの武具を見聞きし、あるいは使い、蒐集してきた。
その眼にかなう業物が、侵入者の背を貫いて、胸部から覗いていたからである。
闇霊「グッ!」
短く息を漏らす侵入者を、業物の持ち主は蹴り飛ばし、地に伏せさせる。
そして起き上がりぎわに一閃を入れ、そのまま沈黙させた。
東国の戦士「なにっ…!?」
剣と剣とを使いこなす、二刀流によって。
黒森に生き、そして黒森を目指す者は、知ることになる。
新たな戦士の到来と、闇に一石が投じられたことを。
二刀で侵入者の首を撥ねた獅子鎧の騎士は、東国の戦士に背を向け、歩きだす。
そして森を抜け、不死教区を歩き、かつて竜が居た大橋で出会う。
その者は、獅子騎士と同じく、やはり疑問を抱いていた。
確たる真理を見たというのに、何故我らは闇に呼ばれたのか、と。
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