685:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/16(月) 21:41:10.99 ID:xIxc2dDk0
グウィンドリン「我らは書庫へと向かい、白竜公を牢より解き放った。だが、白竜公は書庫に身を潜めたまま、術理の探究に身をやつしていった」
グウィンドリン「書庫を閉じる大王の封印はしかし、封じているのはあくまで門のみ。翼を用いて空を飛ぶ者にとっては、かの封印は他者を締め出すための塀にしかならなかった」
グウィンドリン「無論、太陽の光の王が敷いた封印である以上、闇の手の者たちは塀を越えられず、例え超えても力を削がれ、結晶の番兵に轢き潰されることとなるが」
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グウィンドリン「……そして、アノール・ロンドを冒す者たちに、闇の手の者どもが混じり始めた頃、我らは大王グウィンの火が弱まり始めたのを悟った」
コブラ「ボウイの手下どもだな。鬼の居ぬ間になんとやらか」
グウィンドリン「不死人とは人の世のみならず、神々の世においても忌み者とされている。彼奴等の一部が、本来の己が立つはずの闇に惹かれるのも、無理からぬことだ」
グウィンドリン「闇の手となった不死人は闇霊となり、なおも我らを下せぬと見るや、より手近な者を殺し、力を高めることに専念しはじめた」
グウィンドリン「火が継がれるまでの間を希望と共に生きるために、街を作った不死たちは数多くいたが、闇霊どもはその地の尽くを襲撃し、死なぬ者たちを殺戮し続けた」
グウィンドリン「そうして生まれたのが、おそらくはあの仮面の騎士たちであろう。何故我らを熟知し、我らの武具を扱えたのかは分からぬが」
コブラ「あんたにとっても奴らは謎だらけか。ただあいつらの口ぶりだと、どうもあんたらと奴らは何度かやりあってるみたいだぞ?」
コブラ「いや、それだけじゃない。あいつらは俺の仲間たちにすら詳しかった。装備、戦法、思考の癖……まるで心を読んでいるかのようにな」
コブラ「だが連中のことを知らないという、あんたの心に嘘が無いことも分かる」
コブラ「ある意味でボウイよりも不気味な奴らだぜ」
時は加速し、景色は切り替わったが、今や切り替わった先の景色をコブラは見慣れていた。
水を打ったように静まりかえっている謁見の広間には、今や何者でも無くなった暗月の神が立っている。
長子の像が無くなって久しいその広間には、もはや玉座すらもない。
その間に入り、暗月の前に跪いたのは、オーンスタイン、スモウ、キアランの三柱であった。
オーンスタイン「いかなる用も、お申し付けください」
その言葉に、コブラとグウィンドリンは強い既視感を覚えたが、古き日のグウィンドリンはただ応えた
古き日のグウィンドリン「うむ。実はかねてより、思うところがあってな」
オーンスタイン「と、言いますと」
キアラン「……」
スモウ「……」
古き日のグウィンドリン「…貴公らを、騎士の任より解こうと思う」
オーンスタイン「!」
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