651:名無しNIPPER[saga]
2020/01/15(水) 07:50:56.65 ID:wifFd3Lt0
古き日のグウィンドリン「…?」
ヨルシカ「おかあさま?」
プリシラ「………」
グウィネヴィア「お母様…何を仰っておられるのですか…?」
ベルカ「………」
月と太陽の女神「ベルカ、貴女には分かるでしょう?私の話の、その意味が」
ベルカ「…いえ…それは見当違いです」
月と太陽の女神「貴女は生まれながらの魔術の使い手」
月と太陽の女神「そして、アノール・ロンドに生まれた生粋の魔術者たちは、貴女を除いて皆、白竜公さえも私から産まれました。」
ベルカ「貴女は思い違いをしている。そうでなければ時間稼ぎだ。このような…」
月と太陽の女神「ですが貴女は私と違い、月の魔力とは別の魔力を宿しています。それは貴女だけのもの」
月と太陽の女神「そう……私達は血の繋がりは無くとも、あるいは父を違えた姉妹なのでしょう」
グウィネヴィア「父を…違えた?……お母様、先程から何を…」
グウィネヴィア「!」
母を問いただそうとした王女を、位さえ許されぬプリシラが目で制した。
ほつれ始めた弓を引き絞るような緊張を宿す視線は、他の兄弟姉妹たちに口を開かせなかった。
ベルカ「…何を言って…」
月と太陽の女神「あのお方は皆を御作りになり、私と貴女を見ていたのです」
ベルカ「!!!」
心胆を凍えさせる言葉にベルカは眼を見開き、一歩二歩と退く。
そして開いた眼を自身の足元に落とした。まるで見てはならぬ者を見たように。
月と太陽の女神「気付かないとでも思いましたか」
月と太陽の女神「貴女が太陽の血を傀儡にして、月の血に神代を握らせようとしたことを、隠しおおせると思いましたか」
月と太陽の女神「闇に抵抗する力が強い暗月に、貴女は太陽の血筋を、アノール・ロンドを、私達を護らせようと画策したのでしょう」
月と太陽の女神「あのお方の望み…それを看破できぬ身であっても、貴女は精一杯、アノール・ロンドを護ろうとしたのでしょう」
月と太陽の女神「ならば見るのです。今のアノール・ロンドを。この黄昏を」
ベルカ「………」
月と太陽の女神「貴女の護った臣民は、ここにはいません。貴女の護った英雄は、輝きは、ここにはいません」
ベルカ「……私は…ただ…」
月と太陽の女神「教えてベルカ。貴女の心はどこに追いやられたのですか?」
ベルカ「貴女には…貴女には分からない…安息などは一時たりとも無かった。貴女が王と共に世の春を謳歌している間、私は…」
月と太陽の女神「ならば語らうべきだったのです。あのお方に知られようとも、光が無ければ闇もまた深まりません。それをあの方も知って…」
ベルカ「あの者の策謀に逆らわなかったのは貴女も同じだ!あの者の望み通りに世を歩き、死者を見届け、子を成し、子を放したではないか!私の味わった苦渋を責めるというのなら、それを捨て置いた貴女は何だというのだ!貴女は私と共に神々を誅殺し、巨人達に重きに過ぎる罰を与え、人に亡国を与えたのだ!そのような私と同罪である貴女が私を責めるというのなら、貴女はなぜ牢から逃れてここに立っているのだ!!罪の女神たる私を差し置き、私を裁いて己だけ許すというのか!!」
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