585:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:06:27.42 ID:JzhD+8380
「ああ…それが、偉大なるソウルなのですね……」
コブラ「!」
背後からの不意なささやきに、コブラは振り向いた。
振り向いた先には月の女神が立ち、女神の視線は瘴気を纏った巨神に向けられている。
月の女神「無に神が生まれ、無に生が生まれ、神が死に、生が死ぬ時…」
月の女神「生命は定義され、皆の求めしものは来たる」
月の女神「最初の死者よ。偉大なる死よ。そなたは死の護り手であるがゆえ、生をも輝かせるでしょう」
月の女神「すべて、あのお方の予言した通りに」
月の女神「神々に、太陽の時代を」
月の女神の言葉と共に、最初の死者は立ち上がり、鍾乳石が垂れる墓所の天井に触れた。
すると天井は腐り落ち、砕けた岩と泥となって降りかかり、底に触れる前に塵へと姿を変えた。
最初の死者は地上を目指す。己に死を与えた不滅なる者共に、死の安寧を与えるために。
コブラ「思い出したよ……最初の死者……石版にあった最初の死者ニトっていうのは、あいつのことだったのか…」
グウィンドリン「貴公、知っていたのか?」
コブラ「ああ。色々ありすぎて今の今まで忘れていたがね。俺達がここに来る原因になった物に、最初の死者の名前が書いてあったのさ」
コブラ「そうだ…だんだん思い出してきたぜ。なんで今まで忘れていたんだ。グウィンの雷…魔女の炎!誰も知らぬ小人!」
コブラ「グウィンドリン!俺の記憶消失も、王の封印に原因があるのか!?」
グウィンドリン「それも大いにあり得るだろう。王の封印は、闇の者の手から『真に尊きもの』を守るためにある。貴公の心…貴公のソウルを闇から守るために、我が王が封を施したのならばな」
グウィンドリン「だが貴公が望む疑問は、それだけではないだろう?」
コブラ「ああ、まだだ。俺はまだ知らなければならない!」
コブラ「生命が定義された時、現れる答え!」
コブラ「あのお方とやらの予言の中身をな!」
暗い墓所は溶け、コブラとグウィンドリンは転移した。
一人と一柱を新たに包んだのは、闇と静寂ではなく、眩い輝きと暖かい風。
コブラの眼が輝きに慣れ始めると、その瞳には、灰の地平線まで続く灰色の大樹の森と、厚く黒い雲海。
そして、その雲海を所々突き抜け、大樹の森をまだらに照らす、暖かな陽光が映った。
だが、天変を見る者は、グウィンドリンとコブラだけではなかった。
法官「クックックック……」
法官「フフフフ……フハハハハハハ!!」
銀騎士達を従えず、王の側にも付かず、灰の荒野の只中にひとり立ち、輝きに照らされる黒い外套の男。
男は暗黒の化身であるというのに、輝きを見上げ、高らかに笑い声をあげていた。
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