【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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572:名無しNIPPER[saga]
2019/01/26(土) 10:32:38.17 ID:pnV2MKAP0
ビアトリス「………」

ジークマイヤー「………」


熾烈な戦いの連続に、不死たちは言葉も無く篝火にあたっていた。
ジークマイヤーは憔悴と無力感に苛まれ、ビアトリスは神をも凌駕する強大な敵の出現に絶望していた。
コブラを篝火のそばに寝かせ、その手を握るレディに、慰めの言葉をかける余裕も二人には無い。

神代の武具に身を固める敵対者達。おぞましき仮面の者共。
爪を持つ黄金の異形。そして、暗黒神アーリマン。
それらの圧倒的な力に対し、遂に一矢報いる事さえできなかったという認識に、二人は身も心も打ちのめされていた。


ボウッ


音を立て、篝火が前触れも無く強まる。
二人の不死と一人の異邦人は顔を上げ、真鍮鎧の騎士は腰だめに剣を構えたが…


ローガン「ふぅ…帰還の骨片が無ければどうなっていたことか」

ビアトリス「!」


篝火の熱から現れたのは、正気を無くした敵対者ではなく、ローガンだった。


ジークマイヤー「 ローガン老……」

ビアトリス「先生!ご無事でしたか!」

ローガン「一度死んだぐらいでは亡者にはならんさ。人間性もまだいくつかあるのでな」


師の正気を知り、目に見えて気力を戻したビアトリスに笑みを返しつつ、ローガンは一室を見渡した。
目立つのは眠るコブラと、それぞれ篝火にあたる二柱の神々の姿。


ローガン「私が死んでいる間に、予想だに出来ぬ御客神を迎えたようだね、ビアトリス」

ビアトリス「…いえ、迎えたというよりは…この方々はコブラにこそ用がありまして、我々はついでと言いましょうか…」

ローガン「ついでか。ならばそのついでに感謝せねばな」


ローガンは神々に向き直り、大帽子を取り、胸元に抱えた。
白髪頭のローガンの眼は、皺に老け込んだ顔に比べ、若く煌めいている。


ローガン「私、ヴィンハイムのローガンと申します。人の世においてはビッグハットなどと呼ばれておりました。以後、お見知り置きを」


丁寧にローガンが一礼をすると、グウィンドリンも口を開いた。


グィンドリン「名乗られたのなら、応じねばなるまいな」

グィンドリン「我が名はグィンドリン。太陽の光の王の娘にして、陰の太陽の君主。暗月の剣の長なり」

グウィンドリン「そして、この者は竜狩りのオーンスタイン。王の四騎士の長にして、我が命を帯びし神代の守護者なり」

オーンスタイン「………」


主君に名を扱われたオーンスタインは、立ち上がり、槍を正中線に立てて不死達に礼を示したが、心中は重かった。
戦に斃れた同胞を看取れずして、何が守護者か。その言葉は硬い心と鎧に阻まれ、不死達には伝わっていない。
神々が名乗った以上、それに即応しなければと焦燥する不死達に、竜狩りの心痛を汲めるはずも無いのである。


ガタッ

ジークマイヤー「わ…私めはジークマイヤーと申しまする。カタリナという辺境にて、中堅所の騎士なんぞをしておりました」

ビアトリス「私はビアトリスと申します。ヴィンハイムにて魔術を習い、不死立ったのちは、その……不死の使命を探求しております」


神の前というのもあり、ビアトリスはあっさりと師にも明かさぬ本来の目的を口走りそうになったが、どうにか堪えた。
グウィンドリンとローガンは彼女の偽りを既に見抜いたが、グウィンドリンは詮索はせずに頷いた。


ローガン「………」




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