558:名無しNIPPER[saga]
2019/01/17(木) 02:39:11.90 ID:Ujr5meaP0
ガイィーーン!!
オーンスタイン「!」
ガイィーーン!! ガキィーッ!!
仮面の騎士は再び、だが今回は幾度も特大剣を素振りする。振り回されたグレートソードはその度に石床を打ち、けたたましい金属音を響かせた。
その一挙一動を、槍を中段に構えたオーンスタインは注意深く見定めようとしたが、やはり石床を打つのは鍛え抜かれただけの特大剣であり、素早く力強い振りは、魔力の類いを一切帯びてはいなかった。
ドガガガガーッ!!
オーンスタイン「ぐっ…!」
仮面の騎士の素振りが終わった時、オーンスタインの全身を実体無き剣勢が打ちのめした。
竜狩りは膝をつき、仮面の騎士は竜狩りへ向け歩み出すが、その両脚はやはり一歩たりとも進んではいない。
オーンスタイン(ありえぬ……影や風はおろか、刃の煌めきすらも見えぬなど…)
オーンスタイン(虚空だ……虚空が我が鎧を叩いている……)
フッ…
オーンスタイン「!」
不意に、竜狩りの眼前から仮面の騎士の姿が消えた。オーンスタインは咄嗟に振り返り…
ドガガーーッ!!
十字槍の白刃で、グレートソードの一撃を受け止めた。
父の仮面「やはり誤りだったな。貴公に手の内を知られてしまったようだ」
オーンスタイン「然り!」
ガシッ ガアン!!
父の仮面「!」
密着に近い形で鍔迫合った仮面の騎士の首に、オーンスタインは左手を掛け、頭突きを見舞った。
仮面の騎士が両手で握るグレートソードは、竜狩りが右手に持つ十字槍に受け止められているうえに、密着状態が生む閉塞性によって膂力をも失っている。
頭突きを貰った騎士の仮面はひび割れ、欠片を竜狩りの兜に飛ばす。
バジイイィーーン!!!
次にオーンスタインは左掌から雷の槍を放ち、激しい雷光を大広間に轟かせた。
オーンスタインの左手からは掴まれたはずの首が消え、十字槍を押すグレートソードも重みを無くし、竜狩りの視界から消失した。
オーンスタイン「………」
だが、仮面騎士の消失はむしろオーンスタインの心胆を凍えさせ、焦燥を強めさせた。
敵対者の姿は消えたが、ソウルの気配は感じず、吸収の感覚もオーンスタインには無いのだ。
それらが意味するところは敵対者の存命であり…
ガキュッ!!
オーンスタイン「オオオッ!」
己が主君に向く凶刃の存命であり、不意を突かれるという可能性の増大である。
仮面騎士のグレートソードはついにオーンスタインの鎧を破り、オーンスタインは背後から太腿を貫かれた。
傷口から噴出するソウルの輝きは陽光のようであり、輝きの強さは仮面の騎士に確かな充足感を与えた。
ガッ
オーンスタイン「ぐっ……貴様……何を用いた…」
父の仮面「術だよ。神々を追い落とし、闇と火を貪るため、人が生んだ業の威光だ。聞いたところで神には使えんさ」
再び膝をついた竜狩りに、仮面の騎士は両手を広げ、己の技を誇らしく語った。
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