551:名無しNIPPER[saga]
2018/12/29(土) 05:36:00.45 ID:LAqz379u0
暗蒼に輝く一つの指輪。
それはかつて、グウィンドリンがよく知る一柱が身につけ、多くの逸話と名誉をアノール・ロンドにもたらした。
指輪には本来、力は無い。指輪の持ち主である神国の騎士の戦いが、強靭高潔なその魂が、いつしか指輪に力を染み込ませていたのだ。
グウィンドリンには見抜けるはずもない。指輪の主人たる狼の騎士はすでに亡く、指輪は永遠に神代から失われているのだから。
ズルッ
ビアトリス「!?」
グウィンドリン「!」
オーンスタイン「なっ…」
竜狩りが驚愕を声に出した時、十字槍に血と臓腑の一部を残して、仮面の騎士は既に跳躍していた。
指輪が与える強靭なる精神力は、仮面の騎士の脳から春の淡雪の如く痛みを消し去っている。
ガッ!!
仮面の騎士のクレイモアがグウィンドリンの杖に打ち込まれた時…
バキャッ!
グウィンドリンの長杖は砕け折れた。
神代の宝具は暗黒の力をその身に受け、既に限界を迎えていたのだ。
杖を砕いたクレイモアは、グウィンドリンの首筋向け刃を滑らせ…
ズカーッ!!
オーンスタイン「!」
スモウの右掌を貫き、グウィンドリンの細首を斬ることなく、その動きを止めた。
グウィンドリン「スモウ!」
スモウ「………」
スモウは、かつて敵の前でただの一度も大鎚を手放さなかったが、今その両の手の指は、大鎚の握りに置かれていない。
巨大な盾ともなり得る大鎚を投げ捨て、咄嗟に動いたからこそ間に合った右掌からは、ソウルの白光が漏れている。
ドカッ!!
クレイモアの持ち主、仮面の騎士の首がオーンスタインの槍先に跳ね飛ばされた直後…
ドスッ!!
ビアトリス「あっ!」
スモウの脚の腱に軽装騎士の大矢が深々と突き刺さった。
後悔しながらもビアトリスは杖に魔力を込めるが、彼女の悔いは彼女の身に余る。
神がまさに殺されんとした瞬間に、その神から眼を離せるほど、ビアトリスは神秘を否定できる人格を持ち合わせていなかった。
ボォン!!
軽装騎士「ぬぅ!」
ソウルの太矢に肩を撃ち抜かれ、よろける軽装騎士。
バシューーッ!!
軽装騎士「がっ!」
その腹を、竜狩りの十字槍は貫いた。
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