543:名無しNIPPER[saga]
2018/12/03(月) 12:36:07.19 ID:IXTofyRq0
カッ!
ジークマイヤー「むっ!」
キリキリキリ…
軽装騎士は杖を懐にしまうと、大弓を石床に突き立てて矢をつがい、引き絞る。
不死達は身構え、神々の眼は敵対者たちの気配が一層膨張する瞬間を見た。
バヒュ!!
大矢が放たれると同時に…
ババッ!
仮面の騎士とその仲間たちは駆け出した。
飛翔した矢はやはり十字槍に弾かれたが、矢の主はまるで臆さず、仮面の騎士を先頭に疾走を続ける。
その疾走に向け、ビアトリスとグウィンドリンの杖が光った。
グウィンドリン「五月雨矢だ、魔女よ」サッ
ビアトリス「っ!」サッ
ドヒュヒュヒュゥーッ!!
敵対者たちに対してグウィンドリンが放ったソウルの矢は、ビアトリスの知る魔法の常を大きく外れていた。
花のように開いた蒼色の光は、打ち水の如く空中で弾けて数十もの光弾となり、光の尾を引きながら敵対者に殺到する。
その神の力に一瞬ひるんだビアトリスだったが、すぐさまグウィンドリンの意図を汲み、自らは狙いを澄ましたソウルの太矢を、輝く雨に忍ばせた。
ビュオオオッ!!
風を切って舞い込むソウルの矢を、敵対者たちは人並み外れた身のこなしによりかわす。
ある者は鞠の如く転がり、ある者は己を透過させるが如き最小の挙動で脅威から逃れていた。
だが、そのような者達にも回避のしようがない脅威はある。
重装騎士「!」バスン!
盗賊「ぬっ」バシィン!
動作の終わり際を狙われては、いかに身軽といえど回避のしようもない。
無秩序に殺到する輝きの雨に凶弾が紛れているとあっては、回避どころか見極めすらも困難だった。
だが敵対者達の疾走は止まらない。死すらも彼らの情熱を止めることができないのだ。
オーンスタイン「構えい!」
竜狩りの号と共にスモウは大鎚を構え、ジークマイヤーは盾を背に掛け、特大剣を両手に握る。
しかしレディはフランベルジュは抜くことができない。彼女の胸の内にあるコブラはまだ、深い眠りに落ちている。
そして仮面の騎士の脚が、竜狩りの制空圏へと触れる瞬間…
盗賊「………」ザザッ
盗賊は脚に力を入れて急停止。
両手に持った石の大剣を掲げた。
ヴォン…!
ジークマイヤー「むっ!?」
レディ「えっ!?」
ビアトリス「!」
苔むした石の大剣から発せられた黄緑色の空気の波は、神の身にあらぬ者達の両脚にしがみつき、見えぬ重りを吊るす。
闘いをやめるように懇願し、祈るようなその力はしかし、二人の不死と一人の異邦人から闘いを回避するためにある脚の自由を奪った。
ガキィーーッ!!
オーンスタインの繰り突きを仮面の騎士は結晶に覆われた盾で防いだ。
盾の結晶は槍を覆う雷のほとんどを宙へと散らし、ごく低い電圧を仮面の騎士の鎧に漏らすだけだった。
776Res/935.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20