534:名無しNIPPER[saga]
2018/11/01(木) 01:21:01.67 ID:Ze6aFrT80
白い光の世界を突き進む柘榴に牽引されながら、コブラは思考の中で状況を整理する。
アーリマンの闇に取り込まれ、無に放り込まれてどれほどの時が経ったのかは分からない。
四肢の感覚はあり、思考も鮮明だ。
だが踏むべき足場も、見渡す地表も、見上げる空や太陽も無い。
柘榴の触手については、触れているという感覚はあるが、温度を全く感じない。
さらに不可解なのは、柘榴の形状である。
柘榴の体は竜のようであり、天使のようでもあるが、しかし翼も、二股の尾も奇妙な青白い触手で構成されている。
コブラ(不思議だ……こいつはどう見ても、正体の分からない怪物だ)
コブラ(なのに俺は、光に包まれていたとはいえ、コイツを年端も無い女の子だと思い込んだ)
コブラ(何故だ?…何が俺にそうさせたんだ?)
疑問に答える者とも出会うことなく、コブラは光の中を飛び続けた。
時間の感覚は確かにあるが、その感覚はコブラに時が進んでいないと告げている。
しかし、確かに何かへと近づいているという感覚もまた、コブラの中では強まっていた。
そして…
コブラ「!」
柘榴がコブラの手を離し、緩やかに上昇を始めた時…
コブラは、白光の中に更なる光を見た。
光はコブラの顔を、輝く両手でそっと包むと…
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