433:名無しNIPPER[saga ]
2018/08/14(火) 03:27:09.29 ID:upP9qpGs0
レディ「ダメね。向こうには行けないわ」
ビアトリス「? どこに?」
レディ「隣にある建物を少し覗いてみたのよ。中は広大な吹き抜けになっていたわ。建物自体が一つの空箱とでも言うべきね」
レディ「下に降りるための階段やハシゴは見当たらなかったわ。見えたのは数本の細長い梁と、梁の上に立つ何人かの見張りだけ。とても大人数で進めるような場所じゃないわ。足を滑らせればそのまま真っ逆さまだし、そんな不安定な足場であの人数を捌くのは、例え魔法が使えたとしても難しいでしょうね」
ビアトリス「そんなはずは無い。見張りぐらいなら私と先生の魔法で…」
レディ「見張り一人につき見えただけでも5本のナイフは携帯していたわ。複数本のナイフを持ち歩いている事だし、多分投げてくるでしょうね、一斉に」
ジークマイヤー「おおう…」
ビアトリス「………」
コブラ「だろうと思ったよ。レディ、コイツを見てくれ」
レディからの報告を受けたコブラは、石橋の先に見える建造物に指をさす。
コブラの指が示した物を、レディと不死達は見上げた。
コブラ「コイツは多分、回転しながら降りてきてこの橋の先になるんだ。形からしてもそうとしか考えられない」
コブラ「だが、その仕掛けを動かすスイッチの類はこの橋には見当たらない。レディの言った梁とやらを渡りきった先に、そのスイッチがあると見ていいだろう」
ビアトリス「だが、その梁は渡れないんだろう?」
コブラ「ああ、渡れんさ。俺が思うに、だから不死の使命を知る者が今まで出なかったのさ。はじめから使命をやらせる気が無いんだ」
コブラ「アノール・ロンドの巨人衛兵共は自動操縦のロボットとも考えられなくも無い。ガーゴイルもしかりってところだろう」
コブラ「だがコイツは訳が違う。客をわざわざ呼んでおいて、その客を明らかに撥ねつけている。不死を厳選して英雄を見つけ出すにしては徹底しすぎだ。これじゃ英雄だって通れやしない」
コブラ「それにそういう悪辣なイタズラは、ここに招待する前の古城で済ませるはずだ。英雄に苦難を押し付けるにしても、神の国に招待するからにはまずは相応の宴を用意して英雄をもてなすのが、神話においての王道のはずだぜ」
ジークマイヤー「それはそうかもしれんが…些か考えすぎではないか?まだ苦難が続いているとも思えるだろう?」
ローガン「…なるほど。貴公の考えの先が読めたぞ」
ローガン「つまり、アノール・ロンドはすでに死に体であり、不死の使命も今や風前の灯だと言いたいのだね?」
コブラ「そこまで考えちゃいなかったよ。だが、そう考えるのが一番しっくり来るぜ」
コブラ「教会のガーゴイルは、俺たちが鐘に近づいた時に動き出した。巨人の衛兵も近づいたジークに反応して攻撃してきた。ガーゴイルも、巨人も、この橋も、見張りも、全てここの防衛装置なのさ」
コブラ「想像するに、何かから都を守るために装置を起動させたはいいが、その何かを追い払うことが出来ず、やむなく都を放棄したってところかね」
ローガン「で、あるならば……不死の使命は神の国の再建ということか?」
コブラ「そいつは可能性の中でも最悪さ。町興しにしたってディズニーランドをおっ建てるぐらいしかアイディアが浮かばない」チャキッ
ひとしきり自論を整理したコブラは、手を建造物に向けると…
バシュッ カキン!
ワイヤーフックを射出し、建造物に引っ掛けた。
コブラ「だが、ターザン役は譲れないな」シュルルル…
そのままワイヤーのウィンチに巻き取られ、コブラは建造物を登りきった。
ジークマイヤー「確かに並の不死には渡れんなぁ。あんな便利な縄を持っている不死などとは出会ったことがない」
ローガン「うむ。是非に仕組みが知りたいものだ」
レディ「ほしいの?」
ローガン「!? 控えがあるのか?」
レディ「フフッ、ごめんなさい、今は無いわ。でも私たちの船にならあるでしょうね。タートル号って言うのだけれど…」
ローガン「ふむふむ…」
ビアトリス(ウミガメ号?一体どんな船なんだろう)
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