415:名無しNIPPER[saga]
2018/07/16(月) 12:18:27.68 ID:70QjR4CO0
ラレンティウス「働き損…なのか?」
クラーグ「損などではない。破れぬ封印と知れただけでも十分」
クラーグ「あとは秘した種火を取り戻すのみ。貴様らは先に引き返せ」
ラレンティウス「種火……まさか、あの炎の種火があると言うのですか!?ここに!?」
クラーグ「秘匿が破られていないのならな。もっとも取り戻したところで封印を超えられる訳もない。鍛えに使う鍛治道具も、既にこの先で溶鉄となっていよう」
グリッグス「それなら、なぜそんな使えぬ秘術を探すのですか?」
クラーグ「己が杖を持たぬのなら、術書を無智に奪われても良いとはならんだろう」
ラレンティウス「俺もご一緒させて下さい!炎の神秘を見たいんです!」
戦士「また始まったよ…よせよ、この先に進めねえってんだから」
ソラール「………」
クラーグ「いや、封印の先には無い。ここから左に向かった見張り廊下跡に隠されている」
ラレンティウス「それでは…!」
クラーグ「ならん。我らの秘術は我らのもの。貴様のような赤児の如き未熟者に、秘奥を見せるわけも無かろう」
クラーグ「帰れ」カサカサカサ…
ラレンティウス「………」
戦士「ははは、行っちまったな」
グリッグス「しかたないさ。私の師も、秘術となるとさっぱり教えてくれない。そんなものさ」
ラレンティウス「………はぁ…」
ソラール「………」
ラレンティウスの野心がまたも打ち砕かれたが、ソラールの思考からは彼を慰めるという配慮さえ消えていた。
ラレンティウスは己の領分を忘れてクラーグに同行を申し出たが、ソラールもまた、クラーグの言葉に己の本分を揺さぶられていた。
求めてやまない物が、前触れ無く眼前に現れる。
例えそれが考え違いや激しい期待から来る、過ぎた妄想や幻覚の類いであったとしても、求める者は、それらに対し全くの無力になる。
理性や情を保ちつつ、それらを凌駕するもの。欲望には、人ならば逆らえない。
理想や真実ではなく、偉大な輝きを求める者なら尚更に逆らい難く…
ソラール(太陽の光の王の封印……混沌の地に、かの王は所縁がある…)
ソラール(空の太陽は熱く輝く…だが、太陽の力の根源は空には無い。力の根源はロードランにある…神の地にある…)
ソラール(太陽の光の王は、混沌に溢れたこの地を封じた。なんのために…)
ソラール(………)
ソラール(いや、そもそも俺は何を求めている?)
ソラール(太陽の偉大さ…太陽の光の王の偉大さ…偉大な輝き…偉大な温もり?いや…)
そして、苦悩する。
人が何かを偉大と評する時、その偉大さには見えぬ闇や、解けぬ謎が含まれる。
全てが分からぬからこそ偉大であり、闇や謎が害をなさないからこそ、人は偉大さを易々と敬えられるのだ。
闇や謎が見えぬからこそ偉大であるならば、姿無き偉大さを目指す者に、確たる答えなどもたらされるはずも無いのである。
ソラール「………」
太陽の戦士の心の奥底には、求める物の姿は無い。
だが、求める心は熱量を高め続け、姿無き物を求め続ける。
暗闇を求めるその行いこそ、心の闇を深め、育むとも知らずに。
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