409:名無しNIPPER[saga]
2018/07/15(日) 12:25:05.73 ID:VexeU2Ts0
戦士「…ん?なんだありゃ?」
ソラール「どうした?」
辺りに敵がいないか警戒していた戦士が何かを見つけた。
それは穴掘りウジ虫が溶けた後の地面に刺さっており、赤い大地にあって更に紅く輝いていた。
その不自然な程の煌めきに吸い寄せられ、戦士は歩み寄り、土を掘って煌めきを手にとる。
戦士「……おい見ろ!こりゃ赤楔石だ!」
ラレンティウス「なにっ!?」
グリッグス「え?」
にわかには信じがたい報を聞きつけ、不死達は報に駆け寄った。
戦士「すげえ…噂には聞いていたが、まさか本当にあったなんてな…」
グリッグス「まさかこの目で見ることができるとは…」
ラレンティウス「それもかなり大きい…輝きも伝承の通りだ。やっぱり神々の地なだけはあって…」
ソラール「物知らずで悪いが、俺には何が凄いのかさっぱりなのだが」
グリッグス「楔石は、鍛治の神だけが扱える金床から剥がれ落ちた薄片だと言われているのは、知っているだろう?」
ソラール「うむ」
グリッグス「赤い楔石とは、それらに何らかの形で新たに炎の力が宿った物を言うんだ。楔石の欠片でさえ、人の世界では神の聖遺物とされているんだ、赤い楔石ともなれば、その価値は計り知れない。武器に刻み込むための繋ぎとして緑色の楔石も必要だが、もし武器に刻め込めたなら、その武器は太古の神々が操った炎を永久に纏うことになる。聖剣も、救国の英雄も生まれるだろうし、一国の王の心を奪うことも…」
クラーグ(奴隷鍛治の金床ごときに鼻息を荒げおって…神ならば節操無く畏れ敬う者には、良い玩具だろうがな)
クラーグ(騒ぐべきは、この封印だろうに)
楔石に集っている不死達を放っておき、クラーグは歩みを進め、止めた。
目の前には霧が立ち込めているが、その霧に浮かぶ粒は太陽色に輝いている。
不死達は、その輝きは赤みがかった景色が、色を霧に映しているだけに過ぎないと思っている。
しかし、魔女の眼は人には知れぬ真実を見抜く。太陽色の輝きが、誰を示しているのかさえも。
クラーグ(この輝きは、かの大王による封印だろう……母が混沌を解き放った日に、我らを辛うじて救ったものだ)
クラーグ(それ故に固い封であったとは思っていたが……しかし、混沌が溢れる今も形を保つなど、ありえぬ事だ)
クラーグ(何より、何故、あのような形で、あのような者まで封じている?)
クラーグの眼に、かつて見た輝きが映る。
光を放ち、波のようにうねる封印に御される、ソウルでも人間性でもない未知の力。
それらが持つ謎は、クラーグの中で更なる神秘へと変貌した。
クラーグ(太陽の光の大王……何故にかの神は、コブラに潜む『門』に同じ封を敷いた?)
クラーグ(アノール・ロンドの王は、ロードランに居もしなかったであろう彼奴の中に何を見た?)
ソラール「…つまり、人の手に余る物ということだな」
グリッグス「掻い摘めば、そんなところだ。ヴィンハイムの竜学院ですら探求を諦め、風化した歴史に混じる雑音と…」
クラーグ「戻るぞ」
グリッグス「されつつあって……えっ?」
戦士「は?なんでだ?」
クラーグ「やはりここから先は封印されている。太陽の光の王の許しが要るようだ」
ソラール「!!」ピクッ
戦士「え…おい…それじゃ働き損かよ…」
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