403:名無しNIPPER[sage]
2018/07/14(土) 23:09:03.77 ID:gwfxK8ej0
束の間の休息を終え、一行は旅を再開した。
そもそも不死とは生と死の狭間を漂う者達であり、ソウルと人間性の枯渇に脅かされこそすれ、老いもしなければ飢えも無く、疲れもしない。
正しく時間の働く人界にあっては、飲まず食わずで数ヶ月間駆け回ることに何の障害も無い。
しかし、心はその限りでは無かった。長い旅路には、やはり細やかでも宴が必要だったのだ。
クラーグ「ふん……守衛どもが。たやすく混沌に呑まれおって」
一行の前には、朽ちて段差の崩壊が始まっている、長く広い下り階段が続いている。
その両端に等間隔で置かれた4つのデーモン像が、定められた位置から離れ、一向に近づいていく。
像の大きさは人と変わらないが、低空を浮翌遊する胎児のような石像の腹部から、クラーグは熱を感知していた。
元々は都の衛士として使われていたそれらの中には、今や魔女の火ではなく、熱ぎ混沌が滾っていた。
ボボオオォーーッ!!
4つのデーモン像はクラーグへ向け火炎を放つ。
ゴバァーーッ!!
クラーグの蜘蛛顔は、その火炎を飲み込むだけには止まらぬ熱泥を、4つの像に吐きかけた。
石を削り出して作られているデーモン像は、岩をも溶かす灼熱に包まれ、朽ちた階段を補強する溶剤となって階段に広がった。
重力に押されて階段を流れ落ちる像の残骸の上を、クラーグは歩く。
その後を歩く不死達は、溶岩を避け、飛び越えて進む。
牛頭デーモン「グオオオ!」ドドッ!!
階段を抜けた一行へ頭突きによる突進を行うべく、猛進を始めたデーモンの咆哮は、地中に眠る一匹のワームを叩き起こし、一行に気付いていない他のデーモン像を起こした。
牛頭デーモン「ブゴオオーーッ!!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!!
クラーグ「………」
一行へ向け突進する牛頭デーモンとクラーグは対峙する。
そのクラーグの背後から散った不死達は、牛頭以外の排除にかかった。
ソラールと戦士はワームへ向かい、グリッグスとラレンティウスはデーモン像へ向け術を放つ。
ガゴッ!! ドゴオオォン!!
牛頭デーモンに組みつき、押し倒したクラーグは、蜘蛛頭を撫でた。
とびきり煮えたぎった溶岩を吐き出すよう促された蜘蛛頭は、岩を煙へと変える程の熱流を口の中で練り始める。
戦士「おおお!」ドカッ!
ワーム「ギョアアーッ!!」
ワームが口から何かを吐き出そうとした瞬間に、戦士の投擲した直剣がワームの口を貫く。
バジィン!!バリバリバリ!
激痛に身悶えするワームのやわ腹には、雷の槍が突き刺さった。
ワームの腹を貫いた雷は、戦士が突き刺した剣を通してワームの体内を食い荒らし、焼き尽くす。
命を失ったワームが崩れた後に残った剣を、戦士は拾い、二人の術師へと援護に向かう。
ボン! ドウン!
だが援護の必要も無く、グリッグスのソウルの矢は既にいくつかのデーモン像を打ち砕いており…
ガスッ!ガコッ!
最後のデーモン像も、激しい発汗を纏ったラレンティウスに、背後から手斧を何発も打ち込まれ、熱を失いかけていた。
ドグワッ!!!
戦士「うおっ!?」
不意に生じた爆音の出所を、身構えた戦士は視線で追った。
見ると、上半身を影として石畳に圧入された牛頭のデーモンが、ちょうど白い霧となって消えていくところだった。
戦士「えげつね…くわばらくわばら…」
ソラール「流石だな…手を貸さなくてもよかったかな?」
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