【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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375:名無しNIPPER[saga]
2018/04/03(火) 10:13:09.28 ID:y8WXfpUB0
グリッグス「それにしても…」

戦士「?」

グリッグス「鎧を脱ぐだけだと思っていたが、まさか服まで脱ぐとは…」フフフ…

戦士「なんだよ…喧嘩売ってんのか。こっちは暑さでイラついてんだ。なんだってやるぜ…」フゥフゥ…

グリッグス「いやからかったのは事実だが、それだけだ。深い意味は無い。ただ、こう…」

ソラール「暑さで苛ついたってところか?」フゥフゥ…

グリッグス「そ、そんなところだ……君は暑くないのか?」

ソラール「熱いさ。だが耐えている。ハハハ」

グリッグス「は、はは…」



クラーグ「黙れ貴様ら。ここから先は我が良いと言うまで口を噤め。誰かが口を開いたならば、それは我が弟への侮辱とみなす」

クラーグ「そうなれば貴様ら全員、腰から下を赫灼たる溶鉄に埋め、永久に生かし続けてやろう」



ソラール「………」

グリッグス「………」

戦士「………」

ラレンティウス「………」


不死達を黙らせ、魔女は歩き続ける。
彼女の左手側は、焼けた断崖が続き、断崖の遥か下には溶けた岩が煮えたぎっている。
右手側にはヒリヒリと熱気を放つ絶壁が並び、正面には煤けた一本道が続いている。
不死達は恐怖した。
己に進路を示す蜘蛛からの脅しが、恐ろしかっただけでは無い。
蜘蛛がこれから会おうとしている者が、蜘蛛の背中の向こうに見えるからだ。
蜘蛛は巨大で、背丈だけでも人の三倍はある。その背中越しに見えるほど、弟の巨躯は常軌を逸していたのだった。



爛れ続ける者「………ムオォ…」



小さく唸り声を上げるその者の体は、概ね人型であり、大食らいの竜を一足で踏みつけられる程に巨大だった。
その体温は夏の太陽のようであり、肌は溶岩と溶鉄、そしてマグマによって形作られ、虫の腹のように節くれだっている。
大橋の如き左腕は自らの体に縫い付けられ、大量の右手は右肩から後頭部までを起点に密生し、人骨の指とも虫の脚ともつかない形をして、巨大に蠢いている。
溶けた岩の如き顔には複数の眼が赤色に輝き、頭からはねじれ曲がったツノが二本生えていた。
その姿はまさしく地底の悪魔であり、なぜ地の底からの炎が混沌と呼ばれ、そこからデーモンが生まれるのか、不死達は察した。



クラーグ「…弟よ。そういえば指輪を落としたままであったな」


爛れ続ける者「!」ピクッ


クラーグ「姉君の遺骸を見護るにかまけ、すぐに指輪を落とすのだからな、お前は」


爛れ続ける者「ムオ〜……」


クラーグ「だが、もはや指輪を嵌めろとは言わん。今度は不死どもにも手伝わせ、お前の指に指輪を捻り込んでやろう」



クラーグは爛れた山に一言二言語りかけると、自らの右上腕に巻かれた腕輪を撫で、小さく何かを唱えた。
古い言葉は人の可聴域から外れ、魔女にしか聞き取れず、その声はクラーグの住処を抜け、病み村まで届いた。


混沌の娘「この声…姉さん…?」


黒いローブの女「馬鹿な……今さら私に何を期待しているんだ…」


魔女の力は衰え、その名も歴史の表舞台から消えて久しい。
だが、彼女達の絆は未だ朽ちず、不憫な弟を思う心も、確かに繋がっていた。


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