【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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373:名無しNIPPER[saga]
2018/04/03(火) 02:59:53.02 ID:y8WXfpUB0





コブラの一行がアノール・ロンドで休んでいるころ、ソラールの一行は地下を進んでいた。

進んでいると言っても、ソラール達は一度悩み、意見の仲違いで一悶着起こしかけた末、二択の内の一択を選び、そこを歩いているだけだった。
神を冒涜する死術師によって、無限に生かされる白骨群が跋扈する「地下墓地」か。
毒を含んだ腐肉の沼が広がり、大ビルと亡者が吹き溜まってはいるが、少なくとも中途の道筋は知れている「病み村の奥地」か。
大食らいの竜が沼地に戻り、再び病み村を食い荒らしている可能性を誰もが考えたが、決して少なくはない「円滑な旅路」への可能性もあった。

幸いにも一行に訪れたのは後者の可能性で、毒沼に戻っていた貪食ドラゴンは沼地の魔女に再び焼かれて逃げだした。
しかし、ソラール一行の懇願虚しく、沼地の魔女は同行を辞退した。
姉妹達が死なずに済んだのはいいが、やはり合わせる顔が無いという。
それにしても、皆にとってこの旅は予想外だった。
混沌の魔女クラーグの住処を通った先に、吹き荒れる熱気と焼けた土、煌々と輝く灼熱の溶岩が流れる大空洞が広がることも、一行には予想外だった。
だが予想外なことはもう一つあった。



戦士「あっちぃなぁ……どこを見たって溶岩まみれ……」ゼェゼェ…

戦士「こんな所で金属鎧なんて着てらんないぜ…」ゼェゼェ…

ソラール「ああ全くだ」フゥフゥ…

戦士「あんたはよくそんなバケツ…こんな所で被ってられるな…気が変になってんのか?」ゼェゼェ…

ソラール「ふふふ、気が変か…」フゥフゥ…

グリッグス「だったら鎖帷子を脱いだらどうだ?こっちはヴィンハイムの由緒ある制服のお陰で少し暑い程度だ」

ラレンティウス「こっちも問題ないぜ。呪術師の服は火に強いからな。呪文のおかげだ」

戦士「魔法の服に術師の呪文か…ったく羨ましいこったよ…」ゼェゼェ…



クラーグ「ほらどうした。さっさと歩かないと捨て置くぞ」



戦士(言ってくれるぜアンタが主に暑いんだよ…)ゼェゼェ…

ソラール「す、少し歩調を緩めてもらえないだろうか…我々に蜘蛛の脚は無いのでな」フゥフゥ…

ラレンティウス「何を失敬なことを言うんだ!このお方は本来ならば我々のような不死ごときに…」

クラーグ「よい。容姿など気にしたことは無い。だが蜘蛛脚が無いのは貴様達の落ち度だ。責められても何もならん」

戦士「別に羨ましいってわけじゃねえんですよ……ただね、その毛玉みたいな炎を抑えてくれって思ってるんですよ、こっちは……」ゼェゼェ…

ラレンティウス「お前なぁ…」

戦士「あーわかったわかった、わかったよ…」ハァハァ…

戦士「こっちが鎧を脱ぎゃあいいんだろ!ちくしょうめ!」ジャラジャラ…


列の最後尾にいた戦士はおもむろに鎖帷子を脱ぎ始め、褌一丁にブーツと手袋を残し、肌を晒した。
先頭のクラーグはその様子を耳で聞き、クスリと笑った。


クラーグ「脱げばさらに熱いぞ。汗など数瞬で吹き乾く。愚か者め」ククク…

戦士(ちくしょう…本当に熱いぜ…熱さ通り越して肌が痛くなってきた…)ゼェゼェ…

ソラール「おとなしく鎧を着ておけ…服だけでもいい…乾いて動けなくなるぞ」フゥフゥ…

戦士「………」ゼェゼェ…



戦士「………」ガサゴソ…



一度は全裸になることも考えた戦士だったが、思い直して服を着直し、静かになった。
コブラの多様な意味で読めぬ腹の内に免じ、熱気渦巻く地底の奥に住まう「ある者」に慮り、混沌の魔女は一行を先導する。
一行はかくして混沌の炎に焼かれた土を踏みしめ、橙色に照らされる橋を渡って、谷底に熱の川を流す崖を超え、霧を潜り抜けた。
魔女たちの母が生み出した多くの罪禍の一つにして、一人。
忌子、または弟に会うために…



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