331:名無しNIPPER[saga]
2018/01/16(火) 21:32:42.14 ID:CBwj3UzY0
遥かな昔、人が言葉すら持たなかった時、古のものたちは偉大なソウルを用いて竜を弑し、光を持ち、いくつもの都を築いた。
火から光を得る、ぬくもり溜まりの地底の都。
人を導き、そして縛る、二つの人の都。
神の死を祀り、人の死に祈り、光の眠りを慰める大墓の都。
光により生まれたソウルを、人や神々に分け与えた、深緑と黄金の都。
それらの都が築かれる前、一つの国が建てられた。
それは他の全ての都の原初となり、巨人も、魔女も、悪魔も、蛇も、人も、それに従い、また敬った。
偉大なる火の顕現となる太陽を持ち、世界の昼と夜を司る、神秘と眷属に護られし輝ける神の国。
アノール・ロンドと呼ばれるその国には、荘厳な教会とも山とも形容できる建造物が燦然と建ち並び、しかもそれらは途方も無く大きかった。
建物の様式はコブラに地球古代美術史、とりわけ建築史のゴシック・リヴァイヴァル様式を想起させる。
しかしコブラの瞳に見える建築物はどれもそれとは似て非なり、なにより美しく映った。
そして特にコブラの目を引いたのは、眼に見える限りの都の中心にそびえる、コブラをして神の家と語るに相応しいとさえ思える城。
巨大な城は陽光を背負い。輝く都にあってただ一つ、薄暗がりを一杯に纏い、金と黒の塊として光の中に浮かぶ。
威厳に満ちたその城は、旅の一向に、天啓にも似た確信を与えた。
今までの旅路は神の与えた試練であり、ここで与えられるのは、神の恵みであると。
だが、コブラは知っていた。
神の恵みが与えられる時、本当の試練が始まると。
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