293:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 03:44:25.52 ID:KiJ0g45S0
古城の上層階層は主に四つの要素で構成されていた。
広場と、通路と、階段と、石橋。
どの広場も焦げ臭く、全ての通路には血の跡。
あらゆる階段には炭化した何かが撒かれており、石橋という石橋には尽く手すりが無い。
そしてそれらに対してイレギュラーをもたらす存在がひとつ。
巨人「………」
ジークマイヤー「おお、あれは巨人か!」
コブラ「へへっ、ありゃあスタッフと言うより用心棒ってところかな?」
ビアトリス「古き神々の盟友か……しかし、なぜこんな所に…」
古城の最上部に建つ物見の塔から、巨人は一行を見下ろしている。縄を用いて鉄板を粗雑に組んだだけの面で顔は隠されていた。
だがコブラには巨人の視線がこちらに向いているのが分かった。7メートル程もあるであろう巨体を使って、何をしてくるのかも。
少なくとも仕掛けが壊れるまでは、別の巨人が別の場所で、大岩を仕掛けに供給していた。
コブラ「神の盟友ね…そんな大層な御仁がこんな所に詰めてるって事は、ここは『罠』ではなく『試練』だったって訳か」
レディ「金の鎧の彼は関係なかったみたいね。でもそしたら…」
コブラ「ああ。やはりこの旅は神々とやらにお膳立てされている。だがその試練の目的がまだ分からない。不死の使命を遂行できる英雄を選別するためなのか、それとも、この試練こそが不死の使命なのか…」
ザッ!
ジークマイヤー「!」
バルデルの騎士「………」シュッ!
コブラが思慮に耽っていると、一行が立つ踊り場の影、下へと続く階段から、赤いマントを羽織った亡者化した騎士が細い刃を振るった。
刃は、刃を持つ騎士から最も近い不死の首元へと向かって、空気を裂いて進む。
ビアトリス「!?」
コブラ「ムッ!」
ジークマイヤー「ふん!!」ババッ!
ガシィン!!ドシャアアーッ!
その突進は、総重量が160キロを超える塊の体当たりを受け、登ってきた階段の一番下まで弾き飛ばされた。
騎士が持っていた剣は、ジークマイヤーとの接触時に放り投げられ、空中で弧を描いて騎士の頭に突き刺さった。
この瞬間に騎士は事切れたが、不死の耐久性にどのような限りがあるか知らないレディは、念押しとして既に飛び後ろ回し蹴りを放っていた。
ドガァッ!!シャリシャリシャリゴォン!!ガラガラ…
レディの蹴りは騎士の肋骨を背中に触れるほど押し込み、騎士は鎧の破片を撒き散らしながら石畳をコマのように滑って、石壁に激突した騎士の死体は積まれた石を打ち砕いた。
ジークマイヤー「不意打ち卑怯なり!……というか、凄い力だな…」
レディ「それほどでもないわよ。どう?怪我は無い?」
ビアトリス「あ、ああ、大丈夫だ。すまない、手間を掛けて…」
ジークマイヤー「なあに、両手が塞がっていても戦えるのがカタリナの騎士。重い鎧も使いようだ」
レディ「コブラ、ここも安全じゃないみたいよ。先に進みましょう」
コブラ「………」
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