【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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291:名無しNIPPER[saga]
2017/09/03(日) 13:40:05.41 ID:GP6D5wdf0
罠。ビアトリスの言葉は、まさしくこの城の全てを簡潔に表していた。
古城は食堂や倉庫、鍛冶場や練丹場、浴場などを欠き、それどころか住居として最低限持つべき食料そのものや、寝床と厠すら無かった。
中の造りは侵入者の迎撃一辺倒であり、打ち倒すべき対象には番兵たる蛇人達をも含まれているようだった。
一行はその蛇の巣窟ですらない死地を進んだ。
通路を歩けばボルトの嵐が襲い、落ちれば即死であろう細道の上はペンデュラムが守っていた。
それらを越えると蛇人達が押し寄せ、蛇人達を斬り伏せるとまた罠があった。
細道とペンデュラムと蛇女の雷の組み合わせは、ビアトリスの魔法のありがたみを、一層コブラに感じさせたほどだった。

身体能力に優れるコブラとレディはともかく、不死達はいくらか負傷し、その治癒にいくらかのエストを消費し、かくして一行は古城を抜けた。
正確には、古城の下層構造から。



コブラ「まだあるのかよ、いい加減飽きたぜ…」はぁー



暗所を抜けたコブラの見上げた先には、灰色の雲が積み上がった青空と、その下に広がる古城の上半分がそびえていた。
石積みの構造物はまたも複雑に絡み合い、各所に不穏な空気を漂わせている。


レディ「登るしかないわ。ここまで来たんですもの」

コブラ「憂鬱だなー。遊具に飽きたんだしおうち帰ってもいいだろ?ダメ?」

レディ「フフッ、だめね」


ジークマイヤー「うーむ…うーむ…」

ビアトリス「どうした、また唸って」

ジークマイヤー「エストを使い切ってしまったのだ…」

ビアトリス「人を背負って鎧まで着ているからだ。その鎧、本当に脱がなくていいのか?」

ジークマイヤー「そ、それは無理だ」

ビアトリス「人を二人担いでいるようなものだぞ」

ジークマイヤー「我慢すればいいだろう」

ビアトリス「………」


コブラ「なぁ、ちょっとばかしエストとやらを分けてもらえやしないか?」

ビアトリス「!? お、おい!これは限られた治癒の術だぞ!次の篝火までは補充も出来ないんだよ!」

コブラ「それは分かってんだよぉ。でも俺は不死人じゃないしここに来てからまともに水も飲んでないんだぜ?喉がカラカラだ。なぁ頼むよ」

ビアトリス「…まぁ、ろくに食べ物も無いのは確かだな…」

ビアトリス「仕方ない……一口だけだぞ」サッ

コブラ「ひゃー助かるぜぇ!」クイッ


コブラ「………」


ビアトリス「どうだ?」

コブラ「なんの味もしないな。飲んだ感触も無い。なんだこりゃ?」

ビアトリス「飲んどいて失礼な奴だな。不死人の味覚では結構な馳走だぞ」

コブラ「これがご馳走ねぇ…どういう味覚してるんだ?」

ビアトリス「食べたもの全てが口の中で灰になるようなものだ。故郷の味も忘れたよ」

ビアトリス「で、どうだ?喉は潤ったか?」

コブラ「それが全然」

ビアトリス「あぁ…貴重なエストを…」

コブラ「俺も残念だよ。あー腹減った…」





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