229:名無しNIPPER[saga]
2017/02/19(日) 19:01:01.52 ID:Cm3zmTyY0
ザボーン!
カタリナの騎士「ぶほっ!はぁ、はぁ、た、助かったか…」
落下した先には、廃された貯水槽のような空間が広がっていた。
腐った水はタール状に濁っており、落ちた二人にそこそこの軽傷を負わせただけだった。
ビアトリス「すまんな。貴公のエストを使ってしまった…」
カタリナの騎士「ん?構わんよ。騎士として当然の事をしたまでだ。ガハハハ!」
ドパーン!
カタリナの騎士「!?」
蛇人「………」ピクッ…ピクッ…
二人の不死を追う異形の一匹は、迷いも無く足場から飛び降りた。
しかしその異形は片目の視力と脳の一部を失っていたせいで、着地の姿勢が取れず、頭からタールに突っ込んでしまった。
ぬかるんでいるとは言え、タールの下には硬い石畳がある。砕けた頭骨を更に砕けさせ、異形は事切れていた。
ビアトリス「………」
カタリナの騎士「あ、閃いたぞ」カチャッ
事の一部始終を見た騎士は手を叩くと、大の字に事切れた蛇人の上に乗っかり、剣を高く掲げた。
その直後に…
ズン!!
蛇人「オァッ!?」
降ってきた蛇人の尻穴に、騎士の特大剣が深々と刺さった。
当然、刃は内臓は尽く切り裂いており、蛇人は即死した。
ビアトリス「なんとえげつない」
カタリナの騎士「成敗!ふん!」ブン!!
どちゃっ
カタリナの騎士「ふー……さて、これからどうするべきか。貴公、何か策はあるか?」
ビアトリス「まずはこの泥濘から出る道を探そう。策を講じるのはその後で…」
ゴリゴリッ…
ビアトリス「? 待て、今の音はなんだ?」
カタリナの騎士「む、また来たか!」
石臼を擦るような音が、空間の何処かからビアトリスの耳に届いた。
二人は再び体勢を整えるが、音の主は二人の体勢を容易に崩すほど力を備えていた。
ドバッ!!
闇の中から飛び出した怪物の身の丈は蛇人の比ではなく、黒い金属の皮膚と長い尾、背中に備えた刺又状の大彫刻以外は、概ね人の形をしていたが、その人型の巨躯からは頭部と片脚が欠けていた。
ズガアァーーッ!!
怪物の得物は、自身の背中に備えられた彫刻と同じ形をした、黒く長い刺又であり、刺又は尋常ならざる膂力によって振るわれた。
一振りだけで騎士の特大剣は討ち払われ、ビアトリスの杖は叩き折られた。
そしてふた振り目が二人を襲った瞬間、二人の意識は途絶えた。
楔のデーモン「………」
刺又の窪みに二人の不死を嵌めたまま、怪物は廃された貯水槽の闇へと再び姿を消した。
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