212:名無しNIPPER[saga]
2016/12/14(水) 02:38:05.83 ID:nuiv5cNS0
クラーグ「………」
クラーグ「薪の王という名には、思うところが無いわけではない」
コブラ「すると?」
クラーグ「おそらく、篝火の中でも特に強大なもの……『最初の火』のことだろうが…」
クラーグ「…………」
コブラ「ん?」
クラーグ「…それは世界を照らす強大な火だ。無を光と闇に分け、生と死、熱と冷たさを生む、世の理の根源そのもの」
コブラ「そりゃまた大袈裟だな。俺は神に選ばれたってわけか」
クラーグ「いや、それは驕りというものだ」
クラーグ「火を守る薪に、王など存在しないのだからな」
コブラ「王がいないだって?」
クラーグ「火守女はいるだろうが、その者は火の番人にすぎない。我が妹もここの篝火の番だ」
混沌の娘「………」
コブラ「そいつは分かったが、王がいないってどういう事だ?それじゃあ俺達を呼んだのは誰だっていうんだ?」
クラーグ「分からぬ……その『薪の王』とやらが火を絶やすまいと貴様を呼んだのだろうが…その王が何者かも、火を絶やさぬ術も…私は知らない…」
コブラ「参ったな……魔女のあんたにも分からないとなると、魔法音痴の俺じゃ手も足も出ないぜ」
混沌の娘「最初の火を見出し、それを守る術を見つけた方々は、私たちも知っている」
混沌の娘「古き神々…偉大なる死者…鱗無しの竜……そして、私達の母…」
混沌の娘「皆が火を見出し、守ったからこそ、この世界は永く繁栄したの」
混沌の娘「けれど…私達の都が混沌の炎に呑まれ、死者が眠り、神々の地に不信が漂い始めた時、私達の関わりは絶たれてしまった」
混沌の娘「そして、最初の火について、母は何も話さなかった……」
混沌の娘「第二の火を生み出そうとして、炎に呑まれ、苗床となり、私達を忘れてしまうまで…」
混沌の娘「うぅ……」
クラーグ「無理をするな!身体に障りがあるぞ!」
混沌の娘「いいの…姉さん………今日はとても調子がいいの……これは、ただ…」
混沌の娘「少し、哀しくなっただけだから…」
コブラ「………」
クラーグ「話はここまでだ。この子に、今以上の辛さは与えたくない」
コブラ「分かった。この話はよそう。それじゃ…」
クラーグ「待て、貴様の問いに我等は答えたのだ。次は我の声を聞いてもらうぞ」
コブラ「いいでしょ、聞きましょ」
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