187:名無しNIPPER[saga]
2016/11/20(日) 03:39:50.58 ID:uC4NEk+N0
コブラに呼び止められた戦士は、口論をやめてコブラを睨んだ。
その視線には明らかな抗議の意と、呆れが含まれている。
だがコブラは身を引かない。巣の外で出会った女に、送った言葉の証明がしたいのだ。
戦士「またあんたかよ。今度はなんだってんだ?」
コブラ「何って、口説くのさ」
戦士「また訳のわからん事を……いいか?今までは上手くいったかもしれないけどな、そんな事は俺に言わせりゃ…」クドクド
戦士が愚痴をコブラに吐きつけるが、それを無視しつつ、コブラは魔女に向かって左手をかざすと…
ピッ
魔女「っ!」トスッ
ラレンティウス「あっ」
リストバンドからワイヤーを飛ばし、魔女の肩に刺した。
呪術師が小さく声をあげるが、コブラの行動に迷いは無かった。
パリッ!
放たれたワイヤーを通して、魔女の身体に通った衝撃は、あくまで弱く、目立たなかった。
だが、弱った魔女から意識を奪うのには、それで十分だった。
魔女「……」カクン
コブラ「ただし、今は辞めとくがね。美人を誘う時はムードを作っておかないとな」
サイコガンに込めるエネルギーには調節が効く。
極限まで強めれば星を破壊し、最小まで弱めれば麻酔効果を持つのみに留められる。
そのエネルギーを、サイコガンから義手を通してリストバンドのワイヤーに纒わせれば、無制限に使えるテーザーガンが完成する。
しかし、コブラはその仕組みを不死たちに説明する気は無く、不死たちも、単なる毒針としか見なかった。
ラレンティウス「……殺したのか?」
コブラ「生きてるよ」
グリッグス(えらく即効な麻酔だな……しかもこんな魔女までも眠らせる程とは、どこの工房で調達したんだ?)
ソラール「さっきから話が読めないんだが、何がどうなってるんだ?」
戦士「俺に聞かないでくれよ。俺にだってコイツのやってる事が分からねえんだから…」
レディ「見て、霧が晴れているわ」
魔女がうな垂れて数秒が経つ頃には、楕円形の空間の出入り口を覆っていた霧は、消え始めていた。
そして、レディが指差した石の構造物は、向こう側の景色を、出入り口から覗かせていた。
コブラ「なるほど、やっぱりそういう事か」
レディ「そういう事って?」
コブラ「二体の魔除け像を倒したあたりから気になってたんだ。思った通り、この試練のキーパーソンにのみ、霧を制御する事が許されているみたいだぜ」
レディ「これも魔法のなせる技って事なのかしら」
コブラ「さあな。なんにせよ、手玉に取られてるみたいで良い気はしないがな」
コブラ「さてと、彼女が起きる前に、妹君に謁見するとしようか。鐘なんかより俄然興味をそそられるってもんだ」
レディ「まぁ、コブラったら」フフフ…
ソラール「妹君?本当になんの話かさっぱり分からないんだが…」
ソラール「なぁ、貴公は何か知っているか?」
戦士「だから知らねえって!いちいち俺に聞くな!」
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