180:名無しNIPPER[saga]
2016/11/03(木) 23:44:19.36 ID:kGxxCjIp0
ブォン!! ゴオオッ!!
レディ「くっ!」ババッ
振り回される魔剣に翻弄されながらも、レディは回避に専念する事で辛うじて無傷を保っていた。
横振りが来たら身を屈め、縦振りには横飛びをし、袈裟斬りが降りかかったならば、転がるように跳んだ。
魔女の剣戟は正確では無かったが、その切っ先はことごとくレディの逃げ場を断ち、彼女から行動の選択肢を奪っていった。
クラーグの剣勢は戦いの為ではなく、狩りの為にある。逃げ場のない空間で獲物を捕まえるには削る戦いこそが必要であり、一撃必殺に用は無いのだ。
クラーグ「ウフフフ…」ヒュヒュン!
レディ「あっ!」ガッ!
間隔が無く、単調な剣戟にレディが慣れ始めた頃に、クラーグの剣がレディの足首を捉えた。
振り回しから一転、素早い突きに剣戟を変えたクラーグに、レディは対応出来なかったのだ。
ガキィン!!
レディ「!!」
クラーグは転倒したレディを蜘蛛脚で捕らえると、レディの頭を石畳に押し付けた。
次に剣を高く振り上げ、レディに再び微笑を向ける。
まるで粗相をした使いを、主が悪戯に処刑するかのように。
クラーグ「我らが糧となれ」
クラーグがレディに宣告をすると…
ドブッ
クラーグの背後で鈍い音がなった。
クラーグ「奴め、もう落ちたのか」フフフ…
レディ(コブラ…)
クラーグは勝利を確信した。
哀れな勇姿が死に、目の前の奇妙な女も灰塵に帰する。
その事に優越感と、一抹の罪悪感を覚えながら。
ガスッ
クラーグ「?」
だが、剣を振り下ろそうとした瞬間に、小さな棘でチクリと刺される感覚が、クラーグの蜘蛛の腹部に生じた。
クラーグはレディを脚で押さえつけたまま、上体をねじって背後に目を向けた。
クラーグ「なっ!? き、貴様!!」
視線の先には、溶岩の光に下から照らされながら、蜘蛛の腹部へフックを飛ばしたままの体勢のコブラと…
コブラ「かわいいねぇ、そういう顔も出来るんだな」ニィッ
そのコブラのブーツ裏に敷かれた、一本の特大剣があった。
溶岩に浮く特大剣に乗ったコブラは、不敵な笑みを浮かべていた。
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