176:名無しNIPPER[saga]
2016/11/03(木) 13:07:15.65 ID:kGxxCjIp0
コブラ「イテテテ…あやうくリュウマチになるとこだった」
軽口を叩きながら起き上がったコブラの足取りは、おぼつかなかった。
人間とは思えない強靭さを誇る男にも、無限の耐久力がある訳ではない。
視界はぐらつき、思考にも靄がかかる。耳鳴りも頭の中で響いている。
シャカシャカシャカシャカシャカシャカ!
その耳鳴りの音に、蜘蛛の這う音が混ざり、大きくなる。
コブラが見上げた先には、蜘蛛の大口があった。
ガチン!
コブラ「だっ!?」サッ
ガチン!ガチン!ガチン!
コブラ「まっ、待った待った!待ったぁっ!」サッサッサッ
ブオォン!
コブラ「ひえーっ!」バッ!
コブラの頭を噛み砕かんと、蜘蛛の大口は貪欲に口を開閉した。
牙を回避するために、コブラはスウェイとダッキングを多用し、全てを紙一重でかわしたが、その口撃に炎の刃まで混じりだしたあたりで、コブラは限界を悟った。
危険地帯から跳びのき、その後に少し走り、楕円形の空間の真ん中に陣取った。
コブラ「そういう熱いやつは、あんた自身の唇にお願いしたいね」ハァハァ…
壁際の攻防には魔女に分がある。
視界と行動範囲を広く取れる場所にコブラは移動したが、これは優位を取った訳ではない。
追い詰められているのだ。
ゴポゴポゴポ…
蜘蛛の大口の中から赤い光が漏れだす。
そこで、蜘蛛に追いついたレディの妨害が入った。
タン!
レディは蜘蛛に向かって高く跳ぶと…
バッ!
魔女の頭部へ向け、飛び後ろ回し蹴りを繰り出す。
魔女の二つの瞳はコブラを見ており、レディには気づいていない。
ブブン!!
レディ「!?」バシッ!
だが、不規則に密集した蜘蛛の複眼の一つに、レディの姿が映っていた。
蜘蛛は腹部を石畳に着け、そこを起点にコマのように回転し、レディの脚を弾く。
そしてレディが石畳みに落ちる前に、蜘蛛は回転力を利用してコブラに向き直り…
ゴボボォン!!
コブラ「!!」
大口から、どろりとした炎の塊を吐き出した。
塊はコブラには当たらなかったが、コブラの前後左右を取り囲むようにして地に落ち、高温を発した。
石畳を溶かし、溶岩溜まりを作るほどの高温を。
ゴワァーッ!
魔女が渾身の力を込めて放った炎の刺突が、コブラの眉間を打ち抜く瞬間、コブラの額が消えた。
火の海と突きを回避する手段は、ワイヤーフック以外には無い。
だが、天井で宙吊りになったコブラは、ますます追い詰められていた。
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