174:名無しNIPPER[saga]
2016/11/02(水) 14:54:17.48 ID:3Ea9QEps0
魔女の身体は、混沌の炎に半ばまで飲まれ、変質している。
ゆえに纏うのは混沌の炎であり、本来彼女の持っていた魔女としての本質も、失われている。
その本質があれば、コブラの指に嵌められた『老魔女の指輪』の効力を見抜くことが出来ただろう。
そして、指輪を強めている、コブラの中にある未知の力の存在すらも。
クラーグ「フフッ……クククク…」
クラーグ「面白い…魔女の言葉を解するか…」
コブラ「なんの話か分からんね」ニッ
クラーグ「とぼけおって……まあ良い。その方がそそられる」
クラーグ「お前を殺し、そのソウルを見てみたい」ボォォ…
魔女の手に握られる魔剣の炎が、より強く輝きはじめる。
魔力の高揚に応え、力を増していく炎が、剣の刀身を伸ばしていく。
コブラ「さすがは魔女だ。そんな殺し文句を聞くのは、ここに来て以来初めてだ」
バフォオオーーッ!!
魔女が振り下ろした剣の炎は、天井を焼いてコブラの脳天を目指した。
しかしコブラはこれを回避し、踏み出した脚を軸にして、特大剣を振り回す。
ドゴオオン!
コブラ「うおっ!?」
その特大剣が蜘蛛の脚の一本を切り飛ばそうとした瞬間、蜘蛛の脚の爪先から爆炎が放たれ、特大剣を弾き返した。
それだけに留まらず、コブラの身体さえも宙に舞わせた。
ビシーッ!
吹き飛ばされたコブラは壁に背中を打ち付け、地に伏した。
レディは一瞬コブラの元へ駆け寄ろうとしたが、それより前にやらなければならない事に気付き、行動に移した。
ドガッ!
それは、魔女の注意を引きつけ、コブラに体力を回復する時間を与える事。
レディの上段回し蹴りは、魔女の人型としての腹部に向かったが、魔剣がその射線を遮る。
魔女に手傷は無く、彼女の唇は余裕を口にする。
クラーグ「お前も奇妙だ」
クラーグ「鉄の身体だが、そうではないな……人が鉄を真似ているのではない。鉄に人が宿っているのだろうな」
クラーグ「かつての私なら全てが見抜けたものを……口惜しいな」フフフ…
レディ「それには同意ね。あなたには私が何で出来ているかなんて分からないでしょう」
クラーグ「分からぬな。まぁ、殺して覗けば見えもしようが」
レディ「それも無理よ。あなたには何も見えない」
クラーグ「やらねば分からぬわ」ニッ
ブオオオーーッ!!
レディのこめかみを狙った魔剣は、またしても空を切った。
後方へ跳んだレディは、魔女の出方を伺う。
レディ「!! 待ちなさい!」ダッ!
だが、魔女の関心は再びコブラへと戻った。
地を駆ける蜘蛛は速く、アーマロイドの俊足を以ってしても、距離を維持するのがやっとだった。
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