103:名無しNIPPER[saga]
2016/09/25(日) 06:24:50.81 ID:IPItfjC10
ビアトリス「で、さっきの言葉に嘘は無いんだろうね?」
コブラ「ん?なにがだ?」
ビアトリス「生きてる間は感謝をする……確かにそう聞いたが、まさか口だけの感謝に意味があるとでも思っている訳ではないよな?」
コブラ「おい、そりゃないんじゃないか?一度助けたからって一生たかるのは流石に…」
ビアトリス「もちろん長々と毟るつもりは無い。ただ、一度だけ協力してほしいだけだ」
コブラ「協力ねえ。そりゃつまりどういった事で?」
ビアトリス「月光の蝶という蟲を獲るのに、付き合ってもらいたい」
戦士(また嫌な予感が…)
コブラ「なるほど虫捕りデートか。カブトムシを捕まえてプレゼントしたら、受け取ってくれるかい?」
ビアトリス「そんな虫は知らんしこれはデートでもない!本当に反省しているのか?」
コブラ「いやぁ悪い、昔っから口が勝手に動くもんでね。止めようとは思ってるんだが上手くいった試しがないんだ」
ビアトリス「はぁ……まったく、呆れた男だよ貴公も…」
コブラ「それで、その月光の蝶とやらはどこにいるんだ?」
ビアトリス「ああ、その蝶はこの霧の奥で羽を休めているはずだ」
ビアトリス「ついて来い」
魔女に導かれ、コブラ達は建物の最上部にかかる霧の中を通る。
レディはその体験に、あまり良い印象を抱けない既視感を覚え、案内役の男に至っては、霧を潜る振りをして、途中で引き返してさえいた。
様々な脅威に挑み、失敗の中でも最悪と言えるものを幾度も経験した者にだけ身につく、ある種の直感が彼には備わっている。
こればかりは、一度たりとも『完全には』死んだ事がないコブラには、決して身につく事は無い。
ビアトリス「いたぞ。あの蝶だ」
コブラ「なんだもう見つけたのか?」
一本の石橋の上に出た三人は、石橋の手すりに留まっている、奇怪な形をした小さな蝶を見つけた。
ビアトリス「見つける分には簡単なんだ。見つける分にはね」
コブラ「含みのある言い方だな。このちっこい虫には毒でもあるのか?」スッ
魔女の言葉に疑問を抱きつつ、コブラが蝶に手を伸ばす。
しかしその手は空を切り、手すりに触れた。
コブラ「!」
そしてコブラは理解した。蝶は手すりに留まっていたのでは無い。
石橋の手すり、その遥か向こう側の木に、蝶は留まっていたのだった。
月光蝶「………」ヒュイイイイ…
捻れ絡まった対の長ヅノを、音を立ててー輝かせながら、月光蝶は飛翔した。
その身から溢れるおびただしい量のソウルは、縄張りの防衛に使われる。
ビアトリスの言葉には決して嘘偽りは無かったが、コブラは内心、してやられたと思った。
ブワァッ
羽を広げた月光蝶の横幅は、ゆうに10メートルを超えていた。
776Res/935.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20