京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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50:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/08/26(金) 20:58:06.59 ID:NDZ3YBKR0
「……………あんたたちで弱いっていうなら、俺は――――――」

(俺は一体何なんだ。あんたで弱いっていうなら、それより弱い俺は何だっていうんだよ)

「ただの雑魚未満………虫けらが良い所じゃねえかよ………」


 部長も、咲も和も優希も染谷先輩も、皆俺からすれば雲の上の存在だ。俺が死ぬ寸前まで一生努力しても、今の皆にすら追いつけないだろう。

 そんな人たちと何の因果か俺みたいな凡夫が一緒にいて、才能を見せつけられて、当の本人たちはそれでも自分たちのことをまだ未熟だと評する。

 なんて―――みじめだろう。

 俺は今、自分の中にわかだまっていた黒い感情の原因を察した。

 多分、みんなが―――強者であるくせに、強者として振舞わないから。

 美徳なまでにひたむきで努力家で、それは構わない。

 あの龍門渕のお嬢様、龍門渕透華といっただろうか? 彼女のように、自分が強者であることを自覚し、それらしく振舞ってくれるならどんなに気が楽だったろう。

 みんなは自分の未熟さを常に意識して言葉にするのが大事だと考えているのだろうが、その意味を理解していない。

 それは、自分達より弱いすべての人間に対する、最大級の侮辱なのだと。

 ずきずきと痛む胸を抑えて、俺はその場で腰を下ろした。

 もうすぐ昼休みも終わりのはずだが、昼食は摂る気になれなかった。

 食欲など、一切しない。

 ただ今は、このどうしようもなくみじめな気持ちを、どこかにやってしまいたかった。

 窓の外では、今にも纏わり付いてきそうな沈んだ天気が、ずっとそこに停滞していた。


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