京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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185:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/09/04(日) 20:42:40.30 ID:9PCR24Zc0
「なのに、あいつらは、俺なんか置いてどんどんさらに強くなっていくんすよ………。
 人が100メートル走を律儀に頑張ってるときに、タクシー使ってそばを追い抜かれていく感じっす………。
 でも、別にそれはいいんです。その手伝いは正直、辛いっすけど………、ある意味それも幸運なことだと思えるんです。でも…………」

「でも………何だ?」

「でもあいつらは…………そんだけ急成長していく自分たちを、弱いっていうんです………。
 元から化け物じみてるくせに、最近はさらに強くなって………それでも、まだまだ弱い、まだまだ勉強しなきゃって………。
 それで………そんなあいつらを傍で見ていて、じゃあ、お前たちより弱い俺は何なんだよって………思い始めたんです」


 視界が、涙で歪む。


「お前たちで弱いっていうなら………じゃあ、俺はただの雑魚じゃないかって。
 そりゃ、もともと俺は雑魚っすよ。あいつらが一流じゃなくて二流なら、俺は三流どころか五流っすよ。
 でも、あいつらだけがさらに強くなっていって、それを傍で見せつけられて、自分たちは弱い弱いって、ずっとこき下ろされて………みじめで………!」


 ポタリ、と膝の上で握り締めた拳の上に、涙が落ちた。

 赤木さんは、何も言わずにビールをもう一杯、コップに注いでいた。


「……………それが、お前の煙っちまってる原因かい?」

「……………」


 俺は黙ったまま頷いた。

 赤木さんは、注いだばかりのビールを一口飲み、コップを置いてしばらく黙った。


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