31:名無しNIPPER[saga]
2016/09/25(日) 13:05:53.02 ID:9Q90e43Oo
「…翔鶴は、あの人にとって特別なの」
「…わかってます」
一度も戦闘をしたことがない『練度1』であり秘書艦の、翔鶴姉。
あの人の、誰も立ち入ることの出来ない特別。
わかっているけれど。わかっているから想いを消せるというのなら、誰だって苦労はしない。
どうして、私には感情なんてものがあるのだろう。
半端に人みたいな自分が、嫌だった。
あの人に「人」として扱われている翔鶴姉を見る度に、自分が兵器でしかないことを自覚する。
あの人に優しくされて、感情が刺激される度に、自分に人の部分が残っているのだと自覚する。
その繰り返しは、私の中の何かを摩耗させていく。
「……翔鶴姉のことは、好きです」
「…急に何」
「言葉にしたかっただけですよ」
自分にそう言い聞かせなければならないような気がしたから。
それだけだ。本当に、それだけ。
「ああ、そういえば」
「…今度はなんですか」
突然何かを思い出したように手を叩く加賀さん。
また私の粗探しが良い成果を産み出したのかと思わず顔を顰めるが、どうやら違ったようだ。
「工廠で、聞いたのだけれど――――」
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