3: ◆mZYQsYPte.[sage]
2016/08/06(土) 00:06:10.89 ID:GpC9o9hOo
すぐに機嫌を変える空、その空よりも青い海、恐るべき敵。
戦場の軍人にとって秩序こそがまず護るべきものであり、尊ぶべきものだ。
何気ない日常の裏には確かな秩序がある。
計画を立て、多くの人と時間を動員し、誰しもが偉大だと認めうる事柄を成し遂げるには、無秩序では駄目だ。
人を人たらしめ、社会、そして文明を偉大たらしめているのは、誰かが築いてきた秩序に他ならない。
命と秩序のどちらが大事か……? 記者、それは貴様自身の質問か。
読者の代弁、とな。
命を惜しまず戦う者に命を語らせるとは、相応の覚悟があってのことだろうな。
戦場の真実を伝える義務? 下らん。重みがなさすぎる。安っぽいにも程があるぞ。
まさか貴様、他の艦娘にも命云々の質問をしていないだろうな?
なっ!? 当たり前だ! 怒って当然の質問だ! あぁ、またビスマルクの機嫌を直すため間宮を……!
雲龍だってああ見えて繊細なんだぞ!?
……まぁいい。ならばこの私、グラーフ・ツェッペリンが他の艦娘に代わって答えてやる。
命は大事だ。私にとっては秩序の次に、だがな。
人命が優先されるのは平時のみだ。戦場では自分の命が一番大切な奴など役に立たん。
戦闘技術が高度に発達した現代において、その傾向は顕著だ。
対等な条件下であれば、戦争はまず機先を制し、その初撃の後、相手に比べより有機的かつ大規模、そして効率的に任務を遂行できる軍事システムを有した者が制するだろう。
現代の戦場に戦士は居ない。誰もが兵士と名のついた、ただの部品となる。
機械のトリガーを引くだけの存在にな。
人の血が通わない機械の戦争、悲惨にも関わらず英雄の居ない戦場、その灰色の冷たさ。
ある意味、艦娘というのは幸運かもしれない。
私たちの戦場は未だアナログだ。トリガーの先に相手が見える。自分が目の前の相手を[ピーーー]感触が残る。
沈んだ仲間と同じく、殺した敵のことを私たちが忘れることはないだろう。
先人の存在すら背負わず、自分の命惜しさに存在するだけの畜生ども、よく聞くが良い。
貴様らの海の安全は艦娘が守っているぞ。私は自らが信じ、誇るべき秩序のため戦う。
だが、それは決してお前たちのためではない。
多くの人にとって、明日も今日と変わらぬ日常が待っているだろう。
だが、それは決して! お前たちだけが積み重ねてきたものではない!
不愉快か? 結構。私も今、非常に不愉快だ。
喋りすぎた。予定時間を過ぎてしまっている。では、失礼する。
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