提督「川内がバイクに乗り始めたのだが」
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63: ◆v5iNaFrKLk[saga]
2016/07/24(日) 18:11:09.71 ID:6AAXIuqv0

愛機は今夜も調子が良い。

スロットルを捻れば、すぐさま呼応する。
行きたい方向にちゃんと向いてくれる。

一見当たり前に思えるこの動作も、様々な積み重ねがあってこそ。
毎日の様に手を掛けているのだから。

最近になって、ようやくキャブのセッティングの仕方を掴めてきた。
今までは夕張に聞きながらやっていたけど、構造というか機能さえ分かれば単純なモノだ。

本やインターネットを見て、色々勉強したからね。
おかげで部屋の本棚には整備についての書籍がドドンと大挙している。

まあ、単純だからこそ深みに嵌ることもあるのだけど。
求めれば求める程、正解なんて無いと思い知らされる。

「ふむ……そう考えると、バイクとはそれ即ち人生そのものかもしれない」

後付の水温メーターも、安定して90度以下を表示している。
タイヤのグリップ感も変わらず、ブレーキの感触もしっかりしている。

今夜はまだまだヤれそうだ。

不意に前方から、大きなスキール音が聞こえてきた。
誰も居ないと思っていたが、どうやら私以外にも夜戦に勤しむ人が居るらしい。

「ドリフトの連中かなぁ……珍しい」

数百メートル先の交差点、一瞬だけテールランプが見えた。
赤い光だけが残像のように残っている。

「巻き込まれたら嫌だけど……ちょっと気になるね」



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