38:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 02:32:46.79 ID:I+fdqcufo
「でも」
翼ちゃんは言う。
「街灯に照らされて、金髪は眩しいくらいだったのに――影がなかったんだって」
「……へえ」
確かに、そういえばどこかで聞いたことがある気がする。
太陽を嫌う吸血鬼には、影ができない。
「でもなあ、夜のことだし……見間違いだったんじゃないの? 影なんて、場所によっては
まったくできないこともあるじゃないか」
大体――街灯なんていかにもな舞台装置がある時点で、嘘っぽい。
「まあね」
と、ぼくが無粋なことを言っても、翼ちゃんは別に気分を害することもなく、そんな風
に同意を示した。
彼女はどうやら、話し上手だし、聞き上手でもあるようだ。
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