モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 01:56:43.55 ID:nZ3oq+wSo
『僕ら』と語ったほうの声があたしの背後から響く。
思わず振り向いたあたしは、あたりまえのように模造の白馬の上に座る一つの影を見つける。
すでにコーヒーカップにいた二つの影はそこにはいない。
白馬の上の影は狼狽えるあたしのことなんて気にせず話を続ける。
『でも僕らはいつも一緒だよ。はなれたくてもはなれなれない。
だからごしゅじん様のうれしかったことも、怒れるようなことも、悲しかったことも……楽しかったこともしっている』
「そんな、あたしは知らない。……いったいあたしの何を知っているんだ」
『だからすべてですよ。ご主人様。
今日のこと、昨日のこと、一昨日のこと、遡ってこれまでのことも』
ジェットコースターのレールの上に腰掛ける影は、遠いはずなのに耳元でささやかれたように鼓膜に届く。
情報は目くるめく脳を駆け巡り、ひっかくノイズは不協和音を奏で始める。
「う……ああ、なんだ、これ?」
『ああ、しかたのないことだよ。ごしゅじん様。
ごしゅじん様はここのことを理解できない。いや、理解することを拒むんだよ』
『それにこれは、ただの夢。ほんの一瞬の、うたかたの夢なの。
だから起きれば、ここのことは何も覚えていないし、思い出せない。
出来れば覚えていてほしいこともあるのだけど、できないのなら意味はないもの』
『伝えても覚えていないのなら、それは僕らの言葉を伝えられないことと同じだよね』
「いった、い……なんの?」
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