51:名無しNIPPER[saga]
2016/05/02(月) 00:04:23.06 ID:RfQCsLIG0
爽(幼女ちゃん・・・ どうか、私の分まで、生きてくれよ・・・!)ダッ
メロスは再び走り出した。
馬に蹴られた脇腹がズキズキとひどく痛む。 肋骨が折れたのかもしれない。
いやむしろ体中が痛く、痛くないところなど無いくらいだった。
しかし時間がないのだ。
陽は、まさに最後の一片の残光すらも消えようとしていた。
そのわずかな日の光が、メロスの顔を優しく照らした。
爽(・・・ あぁ・・・!)
間に合うか、間に合わないか、その瀬戸際に立たされていながらも、メロスは、不思議な気分に包まれていた。
意外にも、非常に落ち着いた、穏やかな気持ちだったのである。
爽(あぁ、私・・・ 生まれてきて、良かった・・・!)
爽(苦しい… 本当に苦しいけど… 私は、今まで、こんなに激しく、命の火を燃やしたことはなかった…)
爽(そうだ… 私は、きっと、この瞬間のために、生まれてきたんだ……!)サアアアァァ――ッ
急に、心も、体も軽くなったメロスは、爽やかな春風のようになり、ついに刑場へと走り込んだ。
日はまだ沈んでいない。
間に合ったのだっ!
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