9:名無しNIPPER[saga]
2016/04/03(日) 22:26:59.76 ID:Ev2Sdsqg0
少年「……」
少年(僕は、殺された家族のことを思い出していた)
少年(僕は養子だが、家族は僕を至極優しく迎えてくれた。歴史ある武家にも関わらず、その家庭は温かだった)
少年(源氏の子孫である立派な父上、温厚な母上、物知りな叔父上と、僕の四人での生活は実に楽しかった……)
少年(しかしある日、叔父上の留守中に、浪人たちが我が家を襲った)
少年(父上に恨みのある、油商人が差し向けたのだ!十中八九間違いない)
少年(父上と母上は僕を逃がし、刀を取って戦ったが……)
少年(……たまらなくなって家に戻ってしまった僕が目にしたのは、父上と母上の死体だった)
少年(そして戻ったために浪人たちに見つかり、追われたが、用心棒さんたちに匿われたのだ)
少年(今となっては叔父上の生死もわからない……もしかしたら、僕を除いて一家は全滅してしまったのかも……)
相棒「……坊主」
少年「っ!はい!?」
相棒「ん」スッ
少年(……粥だ)
少年「あ、ありがとうございます」
相棒「……」
ノシノシ… ドカッ
相棒「……」ゴソゴソ
相棒「……」パラ…
用心棒「おう、また借本屋から借りてきたのか。好きだな」
相棒「ん」パラ…
少年(よく見たら、相棒さんはかなり器量がいいようだ。愛想はともかく親切なようだし……)カチャッ
少年(しかし頬には傷があるし、杖を持っているということは足も悪いんだろうか?)フーフー
少年(……これからどうしよう)パクッ
少年(油商人を……仇を、討ちたいけれど……僕には力がない)モグモグ
少年(……そういえば、意識が朦朧としていたけれど、見た気がする)ゴクン
少年(用心棒さんが短銃で、浪人たち三人をあっという間に倒してしまったところを)フーフー
少年(……強いんだな。格好いいな……)パクッ
少年(僕にもそんな力があったら、仇が討てるのに……)モグモグ
少年(……弟子にしてくれないだろうか)ゴクン
少年(どうせ家族はいないんだ。構うことはない……掃除でも洗濯でも何でもしてやるぞ)フーフー
少年(……弟子にしてくれるだろうか?)パクッ
少年(用心棒さんは少し、とっつきずらそうだけれど……)モグモグ
少年(いや、弟子にしてくれるまで頼み込んでやるぞ。土下座だってしてやる……もう失うものなんてないんだ)ゴクン
少年「ごちそうさまでした」カチャッ
相棒「ん」
少年(でも、それは明日にしよう……)ウトウト
少年(……今日は少し、眠い……)ウトウト
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