612: ◆yZNKissmP6NG[saga]
2017/06/21(水) 23:16:59.33 ID:EdrrS/iLO
「私」の言葉が、不意に頭の中をよぎる。
『その奥に眠ってる想いを、言葉を、語ろうとせず蓋をしたままでいるのは――うそつきと同じじゃない?』
『ここにある匣。その蓋を開けなさい』
意味がわからないって、思った。
ううん。思おうとした。わからないって、自分に言い聞かせた。
だって、胸の中に開けちゃいけない匣があることも。
その中にどんな汚いものが詰まっているのかも。
私は――最初から全部、知っていたから。
だから、知らないふりをしなきゃいけなかった。
だけどそんなの、そんなちっぽけな嘘、「私」に通じるはずなんてなかった。
自分をだませるほど――私は、器用じゃなかった。
691Res/351.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20