元お嬢様「安価とコンマで最終決戦?」元メイド「8ですぅ」
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757: ◆k9ih1s9J/w[saga sage]
2018/03/28(水) 20:54:52.24 ID:vJoHq88Do
菌のにおいが強いエリアから少し離れた屋根の上で、機をうかがっていたフィナの下を貴腐が走り抜けていった。


フィナ「き、来た!?」

フィナ「……隙だらけ。なぜか裸だし……」

フィナ「今なら……でも……反撃されたら……」


貴腐はそこそこ脚が速いとはいえ、走る訓練を積んだフィナならば十分に追いついて攻撃できる。

しかし、二の足を踏んでいた。

相手は怪物という表現でも足りない程の強さで知られる六勇の一人。手加減をする余裕などない。

フィナには徒手で貴腐を倒すイメージなどまるで湧かず、かといって短剣を握る事もできなかった。


貴腐「反乱勢力の襲撃で皆避難している。人目が少なくて助かったな」

貴腐「レディー、すぐ目覚めさせてあげるからね……!」

一般人「き、貴腐様……!」

貴腐「おっと! こ、この格好には理由があるんだ。誤解されては困るよ」

一般人「助けてぇ……!」ギシッ

貴腐「マネキン……?」


貴腐がばったり出くわした市民の手首と足首に細い糸が巻き付いていた。

その糸は市民の背後に立っている顔の無いマネキン人形の指先から伸びている。

悲鳴を聞いてそちらに顔を向けると、避難所の建物に集まる市民を大量のマネキンが襲っていた。

それぞれが一瞬にして市民の背後に回り込み、魔法の糸で手際よく拘束する。


貴腐「反乱勢力の仲間の人形師か……? しかし人形モンスターにあのような繊細な動きは不可能なはず」

貴腐「狙いは私か。着替えは中断せざるを得ないね」

貴腐「人間使いの人形……危険だ。軍人として無視することはできない」


一瞬、普段見せない真面目かつ冷静な表情を見せる貴腐。だが内心は少々焦っていた。

何しろ頼りのレディーが活力を取り戻すまでは、肉弾戦もしくは周辺の空気や土壌に存在する菌を集めて戦うしかないのだ。

市民を人質に取られているので広範囲の菌を活性化して一掃することもできない。

貴腐は強化された肉体でマネキンの破壊を狙うが、マネキン達は巧みな足捌きでそれを回避。

どうやら操られている市民にも強化魔法がかかっているようだ。


貴腐「一人、妙に強そうな市民がいる」

筋肉「強そうではなく、強いぞー」

筋肉「ボディビルダーとやら、春眠の術であっけなく眠りはしたが良質な肉体だ。この武神タケミタマの器にふさわしい」

貴腐「……間に合った! 援護を頼むよ、レディーズ!」


貴腐が呼びかけると周囲にいくつもの菌糸体が盛り上がり、女性型に変形する。

半実体化した女性たちがマネキン軍団との戦闘に突入した。


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