209: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/03/18(金) 19:54:32.53 ID:4uy4RBmeO
もちろん、恭介のバイオリンに打ち込む姿を好きになったのだから、そこに対して不満があるわけではない。
問題は、恭介が恋愛に免疫がないであろうことだ。
あたしが告白しても、そもそも恋愛そのものに対して拒否反応を示すかもしれない。
あるいは、仁美のような可愛い娘に好きだと言われたら、舞い上がってよく考えずに付き合ってしまうかもしれない……
さやか「……はぁ」
思考が迷子になっている自覚はある。
明日告白するだなんて、急な展開に頭がついていかないのだ。
本来なら、すると決めたのだから、どう告白するかを考えるべきだ。
だが、どうしても現実感がない。
自分が恭介と付き合えるのか、あるいはフラれてしまうのか。
それが明日決まるということが、とても信じられなかった。
さやか(……仁美はすごいな)
自分にはあんな勇気はなかった。
仁美には『気持ちを大切にしている』などと言われたが、実際は、女友達という心地いい関係に甘んじていただけだ。
気持ちを打ち明けることもできず、異性として見られていないなどと言い訳を重ね、その結果がこれだ。
今日のようなことがなければ、告白なんて考えもしなかったかもしれない。
まどかも仁美も、自分にはない強さを持っている。
親友としては誇らしい限りだが、ふとした拍子に、どうしても引け目を感じてしまうことはある。
さやか(だけど……!)
ここだけは譲れない。
ずっと好きだったのだ。
口にすることはできなかったが、その思いは、仁美のそれに負けているとは思わない。
しかし、だからこそ怖い。
フラれたときのことは、正直考えたくない。
……結局あたしは、まだ覚悟ができていなかったのだ。
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