文才ないけど小説かく 7
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37:(お題:共鳴)3/4[sage]
2016/02/12(金) 16:22:57.27 ID:5lHfbfrno

 統理は他人の劣等感に酷く疎い。
 俺の幼馴染は何でも即夏こなすことが出来る天才タイプだから、というわけではない。
 逆なのだ。こいつは異常なほど負けず嫌いなのである。
 誰にも負けたくないから以上に努力をする。それ自体は褒められたことだし、俺も尊敬している。

 問題はその精神性の方にあり、『努力をしないやつは悔しいともわない人間だ』そんな風に信じ込んでいる。
 つまり、打てば響くこいつにとって『やってもできないグズなやつ』ってのは本当に理解できない存在なのだ。
 優秀であるために弱者の気持ちが分からない。それが俺の幼馴染というやつだった。
 そしてそいつは、絶対に超えられない壁に直面して、それでも笑ってる。

「なぁ、教えてくれないか?」
「ん? 何、弓道?」
「違う、お前の今の純粋な気持ち」
「……、」

 何とも清々しいほどに憎々しい笑顔を浮かべる。

「正直に言えばね、すごくムカついてる。すごくすごく、ムカついてる。
だって、的の前に人がいるのに弓を引く人なんていないでしょ。普通に故意だよ、絶対。
でも何よりムカつくのはね、あの人がアタシに勝てるように努力しなかったこと。
アタシにはそれが信じられない。だって人の足を引っ張って蹴落としたところで自分は何にも変わらないんだよ」

 荒くまくし立てる統理に、俺は僅かばかり安堵を覚えた。
 あぁ、こいつはちゃんと憤れるやつなんだって、安心した。若干ずれてる感は否めないとしても。



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